人間工学
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実践報告
超急性期災害医療対応を想定した組織レジリエンス・トレーニング「宝さがし」のトライアル
庄司 直人山岸 庸太高鷹 達榎原 毅
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2018 年 54 巻 6 号 p. 219-225

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抄録

災害発生から48時間以内を想定した医療組織のレジリエンス・トレーニングを考案し,その有用性を検証した.トレーニングは「宝さがし」と名付けられ,「災害時にひとりでも多くの人に適切な医療を届けることに資する“楽しい体験型トレーニング”」をコンセプトに考案された.5~6名のグループ間で得点を競うゲームであり,災害対応時のリスクコミュニケーションを想定し,コミュニケーションの量,正確さ,スピードが揃うと高得点が得られるよう設計された.トライアル実施後の評価から,正確な情報の収集と伝達,適切な状況判断,タイムマネジメント,意思決定,人に頼らない意思決定,効率を考える,戦略性,人員配置などに関するノンテクニカルスキルの学習が促される可能性が示された.加えて,ゲームの性質上自然発生的に生まれる協働や連携などの要素から,メンバーを組織化する体験,チームプレーを引き出す体験,好結果を生む連携の体験,倫理観を問う状況が発生することが示され,体験的学習から協働や連携に関する気づきを得る可能性が示された.

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© 2018 一般社団法人 日本人間工学会
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