人間工学
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対話型ロボットの動作と音声が感情状態に与える影響:予備調査
小山 秀紀 可部 明克
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2020 年 56 巻 4 号 p. 123-129

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抄録

対話型ロボットの動作と音声が感情状態に影響を与えるかどうかについて,質問紙を用いて予備調査を行った.器材には,介護福祉現場での利用を想定して試作された空圧アクチュエータと画像・音声認識装置を備えたパンダ型ロボットを用いた.調査では,看護学生43名(平均年齢21±5.1歳)を対象に,ロボットの動作と音声の有無を組み合わせて,4つの条件(静止,動作,音声,動作+音声)の録画映像を呈示した.評価尺度には,多面的感情状態尺度を用いた.統計解析では,動作と音声を独立変数,8つの感情状態因子のそれぞれを従属変数として,二元配置分散分析を行った.動作と音声は抑鬱・不安感と倦怠感を抑制し,活動的快を喚起したが,このポジティブな効果は音声によって抑制された.また,音声は驚きを喚起したが,親和感を抑制することも示された.本結果は,感情状態に対するロボットの動作と音声の影響は相反する関係にあることを示唆した.人とロボットの効果的なインタラクションを検討する際には,ロボットの動作だけではなく,音声に関わる要素技術の最適化が必要と考えられた.

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© 2020 一般社団法人 日本人間工学会
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