本研究では,短期記憶の発達段階にある子どもが,情報機器の画面上に提示されたアイコンを用いたメニュー選択を行う際の,アイコンの絵柄の違いが記憶方略に及ぼす影響と,その発達的傾向について確認した.4歳児20名,6歳児19名,成人10名を対象に,リハーサルがしやすい状態にある有意味図形と,リハーサルが困難な状態にある無意味図形の2種類のアイコンを用いて,PC画面上に提示した中からターゲットを探し出す探索課題を行った.その成功率と選択反応時間の結果から,パフォーマンスは年齢とともに向上する傾向にあることが示された.さらに,リハーサルが困難であると推測された4歳児でも,リハーサルを用いる可能性があること,また,6歳児はリハーサルを用いる傾向にあるが,絵柄を言葉に置き換えることが難しい無意味図形では,イメージ方略を用いる傾向が確認された.そして,4歳児と6歳児は,成人と比べて記憶方略を効率的に用いることが困難である傾向も示された.