スマートフォン(スマホ)等の情報通信機器が作業環境内にあるとき,スマホの存在自体がディストラクションを引き起こし,作業者の集中を損なって作業を妨害することがしばしば問題視されている.本研究の目的は,このディストラクションが視覚的注意の範囲によって変化するのか,またスマホの条件(スマホなし・電源オフ・電源オン)に影響を受けるのかを検証することであった.そこで,本研究ではN-back課題(困難度:低・高)と輝度変化検出課題であるLCD課題の二重課題実験を行った.その結果,N-back課題の困難度が高く,有効視野が狭窄するような状況下でも,スマホの電源のオン・オフに関係なく,スマホの存在そのものが作業者の注意を引きつけることが示された.