2021 年 57 巻 5 号 p. 241-250
本研究では,バーチャルリアリティプラントシミュレータと椅子型の地震動シミュレータを用いて,地震発生時の原子力発電所中央制御室での対応操作を模擬し,余震を伴う地震がヒューマンパフォーマンスに与える影響について実験的な検討を行った.原子力プラントに関する知識を有する男性7名に対して,事故対応操作を実施させた.地震動発生の有無を条件とし,地震あり条件では操作開始時に本震,および操作中に余震を2回発生させた.地震動によるストレスを確認するため,実験中は心拍ならびに皮膚電気活動を計測し,また実験中の心理状態について質問紙を用いて尋ねた.地震動の有無で生理・心理状態に変化があるか,また,パフォーマンスに差があるかどうか分析した結果,地震あり条件にて生理・心理的なストレスの惹起が確認できた.また,パフォーマンスについても地震あり条件の特に大きめの余震後にエラーが多く発生していた.