人間工学
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原著論文
Sit-stand workstationの使用が内視鏡医の身体局所違和感に与える影響
常見 麻芙松崎 一平服部 昌志榎原 毅 藤城 光弘
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2021 年 57 巻 5 号 p. 261-268

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抄録

長時間の立位姿勢などの同一拘束姿勢による内視鏡医の筋骨格系障害が報告されている.近年,内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が食道・胃・大腸の早期がんに対する手術法として確立されている.長時間立位で行われることが多いESDに対して,sit-stand workstationが筋骨格系障害の軽減に役に立つかもしれない.そこで本研究はESDを行う内視鏡医に対して,sit-stand workstationの使用が身体の局所違和感に与える影響を検討することを目的とした.ESD症例104件は,常立位のStanding条件(n=51)と自らの裁量で立位・座位を切り替えるSit-stand条件(n=53)に層別割付された(内視鏡医4名の反復測定).両条件とも,すべての部位で手術時間の経過とともに局所違和感は亢進した.一方,右膝・下腿(p=0.01),右足・足首(p=0.04),左膝・下腿(p=0.04),腰部(p=0.10)において,Sit-stand条件ではStanding条件と比較し局所違和感の亢進は抑制されていた.sit-stand workstationは内視鏡手術における腰部や下肢の筋骨格系障害軽減に寄与する可能性がある.

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© 2021 一般社団法人 日本人間工学会
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