人間工学
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実践報告
医療従事者によるユーザビリティテストにおける「思考発話法」と「インパクト分析」の有効性の検証
大賀 久美 高野 順船井 孝小松 剛德田 和彦
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2022 年 58 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

ユーザビリティの高い医療機器を開発するには,ユーザビリティテストによる利用状況の把握と明示が有効である.本研究では,医療従事者を対象にしたユーザビリティテストとして思考発話法とインパクト分析が有効か検証した.ユーザビリティテストの対象として気管内チューブカフインフレータ(以下,装置)を用いた.初めに,看護師5名がカフ圧管理タスクを行い,その際に思考発話法と映像記録を行って現行装置におけるユーザビリティの問題を把握した.次に,インパクト分析によって,把握した問題に解決する優先順位をつけて分類した.そして,開発装置のプロトタイプを設計した.最後に,看護師10名のタスクにかかる所要時間と主観評価により開発装置のユーザビリティを評価した.その結果,現行装置に比べて所要時間が短く,ユーザビリティに関する主観評価が高く,開発装置のユーザビリティが向上したことが示唆された.以上より,医療機器開発が目的のユーザビリティテストとして,思考発話法とインパクト分析が有効であると確認できた.

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© 2022 一般社団法人 日本人間工学会
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