人間工学
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実践報告
超急性期災害医療レジリエンス・トレーニングのスポーツへの応用可能性
庄司 直人 榎原 毅
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2022 年 58 巻 2 号 p. 61-66

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抄録

超急性期災害医療レジリエンス・トレーニングがスポーツ領域に応用可能かどうか検討した.参加者は25名のスポーツまたは看護を専攻する大学生であり,超急性期災害医療レジリエンス・トレーニング「宝さがし」のトライアルに参加した.1度目は12名が参加し,「宝さがし」のゲームの場が集団の有効性を反映する場になるか集団有効性尺度,集団プロセスの成熟度尺度を用い検討した.2度目は13名が参加し,Web調査の自由回答をもとに「宝さがし」がスポーツチームのトレーニングに応用可能か検討した.「宝さがし」で高いパフォーマンスを発揮したチームは,目標の共有,感情の表明,リーダーシップ,意思決定プロセス,信頼,フィードバックを得るメカニズム,協力体制,明快なコミュニケーションでより高く自己評価していた.そして,スポーツへの応用について,チームワークで勝利を目指すスポーツへの応用性が示唆された.災害対応とスポーツは,時々刻々と変化する状況を常に把握し,情報を最大限活用して次のアクションを導くというプロセスに共通する点があり,高得点を獲得するための戦略をチームで試行・トレーニングする「宝さがし」プログラムはスポーツ領域にも有用と考えられた.

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© 2022 一般社団法人 日本人間工学会
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