2022 年 58 巻 6 号 p. 276-286
本研究の目的は,ワシリー・カンデンスキーの「点・線・面」の概念を参照し,グラフィックデザイン初心者が意図した印象を表現するための適切なパラメーターを検討することである.まず,カンデンスキーを含む複数の先行研究から印象表現パラメーターを調査・整理した.調査により選定されたパラメーターを用いて,ラッセルの円環モデルに対応する線によるイメージ図と構成要素を加えたイメージ図をそれぞれ12個作成した.線によるイメージ図と構成要素を加えたイメージ図において,意図した印象表現のパラメーターの効果的な感情誘起について調べた.結果として,線によるイメージ図の検討における必要なポイントが得られ,構成要素を加えたイメージ図においては,ラッセルの円環モデルに基づく意図した結果を得ることができた.