眠気やリラックス感を誘導するための揺れるチェア(スウィングチェア)の開発において人間工学の面から取り組んだことを報告する.機能検討・改善のプロセスにおいては,揺れの効果を高めるためのチェアの姿勢,揺れの振幅などを検討した.効果検証のプロセスにおいては,個々にとって望ましいチェアの姿勢や速度に調整することによって,眠気やリラックス感を誘導できることが示唆された.最終的に開発されたスウィングチェアは製品化・販売され,購入者に調査を行った結果,製品の満足度も高いことが確認された.これらの実践から,人間の心身の状態に働きかける製品の開発における人間工学の役割・課題について議論する.