視覚的探索タスクにおいて,妨害刺激は注意を捕捉し,ターゲット発見に影響を与える.左右視野の情報処理は異なり,視野と偏心度に応じた視覚的探索パフォーマンスを検討する必要がある.本研究では,異なる知覚負荷のもとで3つの偏心度(10°,20°,30°)に呈示された妨害刺激が注意捕捉に及ぼす影響を反応時間から検討した.その結果,視野と知覚負荷と偏心度の交互作用が観察された.反応時間は,低知覚負荷条件では,10°と30°で右視野が左視野より長く,20°で左視野より短かった.高知覚負荷条件では,10°と30°で左視野が右視野より長かった.偏心度に関しては,低知覚負荷条件における反応時間は右視野では20°よりも10°と30°の方が長く,左視野では反対の結果であった.高知覚負荷条件では,右視野では偏心度による反応時間に有意差は認められず,左視野では20°の方が10°や30°よりも短かった.このように,注意の捕捉は複数の因子が複合的に作用した結果である.さらに,空間的注意に関する脳の半球非対称性が示唆された.