人間工学
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車椅子登坂にたいする勾配の影響について
佐渡山 亜兵佐野 吉雅谷井 克則荒居 宏荒川 徹夫斎藤 一朗
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1974 年 10 巻 4 号 p. 131-137

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抄録
8段階に角度が変えられる15mの実験斜路を用い, 勾配が車椅子操作に及ぼす影響について検討した. 15m登坂に要する時間は勾配にともなって延長し, 特に10%以上でその傾向が著しく, 分散も大であった. 前輪キヤスターの浮き上りや後ずさりの現象は5%までは全く起らず, 10%以上でその回数が増大していた. 勾配にたいする「つらさ」の5段階評価は, 7%で「ややつらい」と感じた人が被検者全体の6割にも達していた. 身体障害者, 特に車椅子使用者にたいする建築上の考慮はこうした車椅子操作能力から検討する必要があり, 15m以上にわたる斜路では車椅子による登坂負担からみて10%以上の勾配をさけることがのぞましい.
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© 一般社団法人 日本人間工学会
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