抄録
車いす使用者9名, 健常者11名を被験者として, キッチンユニットの高さ条件のみを, 10cm変化したときに惹き起こされる感情の変動を, Semantic Differential 法およびノーリス気分評定法で測定した. 低位キッチンユニット (車いす使用者: 車いす上膝蓋骨上縁高+流しの厚み, 健常者: 身長/+335cm) に比べ, 高位キッチンユニットは, イメージおよび気分の低下を招いた点で両群の反応は類似していたが, 車いす使用者群でその傾向は著しく表れた. このように物理的条件の変化に対し, 大きく影響を受ける身体障害者に対しては, 画一的でない各自の特性に適した環境の計画の必要性が, 感情といった環境への総合的な反応の側面より明らかにされた.