抄録
本研究ではパーソナルコンピュータを使用して, 発声・発語の困難な重症心身障害児 (者) のコミュニケーション支援機器を開発した. 文字の選択方法は, ひらがな五十音表の行と列を順次走査する方法によった.
開発した機器を使用して, キーボード操作のできない重度脳性麻痺児を対象に, 語彙, 暗唱, 作文の課題を実施した. その結果, 重症児においても自由に単語や文章を書くことのできることが明らかとなった. また, 走査時間やスイッチの最適条件が示唆され, 重症児の言語習得レベルの評価が可能となった. 以上の結果から, 本研究で開発した機器は, 発声・発語の困難な重症児のコミュニケーションに有効であることが示唆された.