抄録
マイクロコンピュータの発達により, コンピュータディスプレイ上にグラフで表示されたデータから種々の判断を要求されることがますます多くなった. したがって, ディスプレイの表示形式が人間の判断にいかに影響を及ぼすかを明らかにすることは, きわめて今日的な課題といえよう. 本研究では, ディスプレイ上に散布図で表示されたデータの相関関係の知覚的判断に, データ数と回帰直線の有無が与える効果を調べるために2つの実験が行われた. その主要な結果は以下のようである. (1) 2変数間にある程度の相関関係がある場合には, データ数が多いほど人間の判断が実際の相関係数の値に近くなった. (2)散布図における回帰直線の表示は, 被験者の相関の知覚に有意なバイアスをもたらさなかった.