抄録
本研究は, 加圧水型原子力発電所においてラインの切替えを行うときの蒸気発生器の水位制御に対する人間の基本作業特性を探ることを目的として行った. 作業者による制御動作をもとに, 作業遂行過程を“作業進行中”,“作業終了前後”とよぶ2つに分類し, 各過程における行動特性を明らかにした.
“作業進行中”では, 各制御量を安定した状態に維持することができる水位制御主体型戦略をとることができず, 水位が不安定になる可能性の大きなバイパス弁流量制御主体型をとらざるをえない場合があることがわかった. また,“作業終了前後”では, 実験条件にかかわらず, 制御が不安定になることが観察された. そこで, それらを解消させるような2つの対策, (1) 作業遂行過程の変更を作業者に知らせる, (2) 調整しやすいように入力ゲインを縮小する, を立て, その有効性を検証実験によって確認した.