抄録
本論文は, 音声入力性能に影響を与えるといわれている類似単語対や人の発声に関して, 音声の認識誤りに関した音声入力システムの性能評価法を提案するものである. まず, 相異度法による音声認識誤りの解析法のうち, 本論に必要な原理を説明し, S誤認識単語対の相異度座標上および相異度指標I上の分布を求める方法を説明した. 音声入力実験により得られたS誤認識単語対の詳細な解析を行い, ここでは特に類似単語の性質と人の発声による影響要因を認識誤りに関する側面から調べ, 音声入力の実用上の指針を得た. これにより, これまで内外においてブレイクスルーのひとつとされてきた, 定式化された評価法の一端を初めて与えることができた.