従来, 習熟を評価する場合, 個別時間を平準化した習熟傾向や習熟率によって解析が行われている. しかし習熟を個別時間のばらつきから検討してみると, 習熟の初期にはばらつきが大きく, 習熟の増加とともにばらつきも減少する傾向がみられる.
加えて, この習熟は作業内容や作業因子によって大きく異なると考えられる. そこで本研究は, 習熟過程における個別時間のばらつきを定量的に把握し, 評価する達成度の理論と傾向式を適用し, 作業内容や作業因子の異なる5種類の実験作業を実施し, 作業習熟を解析した. その結果, 達成度と傾向式による解析法は, 作業内容や作業因子が異なる場合でも, 習熟とともに個別時間のばらつきが減少する習熟の解析には有効であることがわかった. さらに傾向式によって習熟過程における諸特性値の関係を考察し, 習熟特性の評価を試みた.