人間工学
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人間のトラッキング動作における過渡特性と周波数特性
増山 英太郎
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1967 年 3 巻 4 号 p. 327-334,I

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抄録

トラッキング動作を行なう人間の制御特性は, 目標量として与える波形の種類が変わると完全に異なってしまうものだろうか。波形の種類が変わっても完全に異なってしまうことがないとすれば, 人間の伝達関数を求めることに意味が出てくる。本論文は, この点の検討を, 目標波形の種類として階段波と正弦波を用い, pursuit tracking によって行なった。6人の被験者の各々が, シンクロスコープ上の目標波形の垂直方向の変位に合わせて, 小ツマミの回転により操作波形を作る。正弦波の周波数は4.47, 3.80, 2.70, 1.90, 1.40, 1.00, 0.71, 0.51cpsで, 両種類の波での追従の熟練の程度を等しくするように実験を計画した。
階段波応答と正弦波応答の各々につき, 各人別に平均応答曲線を求めた。さらに, 伊沢 (1964) に従って, 階段波応答を正弦波応答に, 正弦波応答を階段波応答に換算した。その結果, 過渡特性においても, 周波数特性においても, 正弦波応答の方が速応性があることがわかった。また, 目標波形の種類が異なっても, 人間の制御特性が完全に異なってしまうことがわかった。また, 過渡特性においては, 正弦波応答からの換算値の方が立ち上がりは早いが, 目標値へ一致するまでによけいの時間を要している。周波数特性においては, 階段波応答からの換算値の方が, 振巾特性についても, 位相特性についても, 周波数増大につれてのより規則的単調減小を示し向ていることがわかった。

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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