1994 年 30 巻 1 号 p. 15-25
我々は“インタラクションそれ自身の楽しさ”を考察する基礎研究として, シリトリゲームプログラムによる実験を行った. 全被験者に同じシリトリプログラムと対戦させ, A群には“相手はプログラムである”と教示し, B群には“相手は人間である”と教示した. その結果, A群はシリトリゲームを退屈に感じ, B群は楽しく感じた. 次に, 人間どうしをネットワークでつなぎ, 同様の教示条件でシリトリゲームを行わせた. 結果は, プログラムと対戦させたときと同様に“相手はプログラムである”と教示した被験者群は楽しく感じなかった. これらの結果は, インタラクションの対象をユーザが“相手はプログラムである”と考えたときにはインタラクションを楽しく感じなくなることを示唆しており, プログラムが完全に人間のシリトリプレーヤーをシミュレートしたとしても, ユーザが“相手はプログラムである”と考える状況では, ユーザに楽しさを感じさせることが困難になる場合があることを示している.