抄録
以前, NEC PC-9800シリーズ (以後, PC 98と略) 上のMS-DOS環境で一般的に使用できる応答時間の制御・計測を可能にする常駐システムを作成した. このシステムでは, ユーザに開放されているタイマー割り込みを使用して, キーボードのキーが押されたとき, 離されたとき, ディスクが作動したとき, ディスプレイの画面が書き換わったときなどに, 事象の種類と生起時刻を記録する. MS-DOSやBIOSレベルで扱われる情報よりもっと低レベルの生の情報を扱うため, システム本体はPC 98のハードウエア依存性が高く, 別のパーソナルコンピュータ上では動作しない. 一方, 海外ではIBM互換機用のプログラムが広く普及しており, これらに対しても同様な記録をとる必要性が生じた. そこでPC 98およびIBM互換機で共通に使用でき, 従来のシステムとの互換性を考慮した新システムを作成した. 本システムにより, 共通仕様の打鍵データが記録できるだけでなく, 刺激時間や反応時間を駆使した人間工学関連の実験も可能になった.