人間工学
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操舵制御動作における加齢の影響
澤田 東一小口 泰平
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1995 年 31 巻 5 号 p. 323-330

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抄録

本研究は, 自動車の運転を模擬した操舵シミュレータを用いて, 操舵制御における高年齢運転者の動作特性について実験的に検討を行ったものである. 実験は若年齢者から高年齢者までを対象とし, 操舵制御における制御動作と識別反応時間の測定を行った. その結果, 以下の知見を得た. (1) 操舵特性が比例要素の場合は, 加齢の影響はきわめて小さい. (2) 微分動作が要求される積分要素の操舵特性の場合には, 高年齢者は制御成績が低下し, 個人差が大きくなる. (3) 被験者の制御動作をシミュレーションにより検討した結果, 微分動作は20歳代をピークとして加齢に伴い減少し, 70歳代以上では主に比例動作になる. (4) 操舵制御における識別反応時間は20歳代が最も短く, 加齢に伴い徐々に長くなり, 70歳代以上になると急激に長くなる.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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