人間工学
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加速刺激の方向に対する人間の転倒方向についての検討
小美濃 幸司永田 久雄大野 央人
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1998 年 34 巻 3 号 p. 117-127

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抄録

列車衝突事故に際しての乗客の被害軽減技術を開発するためには, 衝撃を受けた乗客の動きを推定する必要がある. その1つの手段としてコンピュータシミュレーションの利用を考え, そのために必要な基礎データを整えるために, 衝撃加速に対する人間の転倒特性を明らかにする実験を行った.
その結果, 矩形波加速刺激に対する倒れやすさと転倒方向は, 両足の間隔, 加速作用時間および作用方向に依存することが確認された.
また, 人間を単純な物体として考えてもよい加速度域を, 転倒方向が制御できなくなり, 作用方向に転倒する加速度と考えて, その最小値を転倒方向制御限界と定義し, 健常な成人女子について, この値を280cm/s2と推定した.
さらに, 現在自動車のコンピュータシミュレーション分野で使われているダミーモデルと人間との転倒方向を比較した結果, 加速刺激の作用時間が0.2~0.5s, 強度1400cm/s2以下の加速度域で使用した場合, 両者の転倒方向が異なることを指摘した.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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