人間工学
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鉄道車両の車体傾斜に起因する乗り心地の評価
鈴木 浩明白戸 宏明
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2002 年 38 巻 3 号 p. 135-142

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抄録

本論文では, 車体傾斜システムを備えた鉄道車両が曲線区間を走行する際の乗り心地に影響する振動特性を特定するための実験概要を報告する. 本実験で操作した変数は, 車体傾斜の開始 (終了) タイミング, 緩和曲線中のロール角速度, 左右定常加速度の補償率および走行速度である. この実験のために, いずれも半径が400mの典型的な試験曲線を13個選択した. 被験者の姿勢は立位と座位の2種であり, 鉄道関係者28名を被験者とした. 各試験曲線に“入る”もしくは“出る”タイミングを放送で知らされた被験者は, 4段階尺度で各曲線の乗り心地を評価した. その結果, 左右定常加速度の補償率を60%とした走行条件における乗り心地の程度は, 100%, 80%補償条件に比して有意に低いことを明らかにした. 加えて, 緩和曲線長の延伸が難しいようなケースでは, 直線区間から車体傾斜させることでロール角速度の低減を図る方式が乗り心地の向上に有効であることを示した.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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