2018 年 25 巻 1 号 p. 84-90
機能的電気刺激(FES)の中でも,随意運動介助型FESや傾斜センサ内蔵型FESは,脳卒中片麻痺患者の歩行障害改善への有効性が期待できる.本研究は,この2つのFESを併用することによって,歩行能力が改善し,運動関連領域の活動に変化があるのか検討した.対象者は回復期病棟に入棟した脳卒中患者5名とし,無作為に随意運動介助型FES+傾斜センサ内蔵型FESを用いた歩行練習群(実験群)と随意運動介助型FES+通常歩行練習群(対照群)に分けた.介入期間は2週間とした.介入効果は加速度計を用いた歩行時の身体動揺と,機能的磁気共鳴画像法を用いた随意的な足関節背屈運動時の脳活動で評価した.実験群では対照群と比較して,歩行速度の上昇,歩行時の身体動揺減少を認めた.脳活動は,実験群にのみ介入後に非麻痺側補足運動野(SMA)の有意な活動が認められた.本研究は随意運動介助型FESと傾斜センサ内蔵型FESを併用することで,非麻痺側SMAの賦活とともに歩行時の身体動揺を減少する可能性が示唆された.