変形性膝関節症(膝OA)に対する経皮的電気刺激治療(TENS)に関して,同一デルマトーム内で膝関節を通電領域に含む場合と含まない場合の異なる電極貼付部位における運動時痛の鎮痛効果を比較検討した.対象は片側の膝OAで膝痛を呈する女性8名とした.電極貼付部位はデルマトームL3,L4領域内の2ヵ所で,膝蓋骨の上方と内下方,および膝蓋骨の下方と内下方とし,2条件ともに同一のTENSパラメータに設定した.各条件でTENSを実施しない場合(TENSなし)とTENSを実施する場合(TENSあり)で平地歩行と階段昇降を実施し,各々の動作終了後の膝痛の程度をVisual Analog Scale(VAS)で測定した.両条件ともに,VAS値はTENSなしに比べてTENSあり(p<0.01)で有意に減少した.両条件間の比較ではTENS有無のVAS値の変化量に有意差は認めなかった.膝OAの運動時痛に対するTENSは,同一デルマトーム内であれば膝関節を通電領域に含むか否かの電極貼付部位に影響されず同等の鎮痛効果を認めることが示唆された.