論文ID: 2025-004
痙縮は中枢神経傷害により生じ,伸張反射の亢進を呈し,意図しない筋収縮や筋トーヌスの亢進により日常生活動作が困難になる.さらに,過剰な筋収縮により筋線維の短縮・筋の硬化・関節拘縮・疼痛などの運動器障害を呈する.その痙縮の原因については,脊髄抑制性機能の低下や脊髄運動神経細胞の興奮性の高まり, Ia 線維軸索 - 運動神経細胞間の接続数の増加,上位中枢からの下降路の可塑的変化などにより,中枢神経損傷後に生じる『不適応な変化(Maladaptive plasticity)』によるとされているが,未だ詳細は不明な点が多い.近年,痙縮に対して早期発見し,早期介入することで重症化や関節拘縮や筋の硬化などの二次障害の予防が必要とする専門家もいる.本稿では,近年までの痙縮病態の報告をまとめ,早期介入の可能性および,物理療法手法を用いた介入の可能性や想定される治療的仮説について述べる.