体外循環技術
Online ISSN : 1884-5452
Print ISSN : 0912-2664
ISSN-L : 0912-2664
研究論文
体外循環施行後の急性腎障害に関する検討
大塚 隆浩吉田 譲小塚 アユ子横山 慎二田辺 貴幸古賀 悠介関口 敦新浪 博
著者情報
キーワード: 体外循環, 尿量, eGFR, 急性腎障害
ジャーナル フリー

2012 年 39 巻 4 号 p. 422-427

詳細
抄録

 2009~2010年までに当センターにてCPBを用いた成人心臓血管手術773例から術前検査においてeGFR:60mL/min/1.73m2未満の患者(慢性維持透析含む)を除いた278例のうち、術後急性腎障害(AKI:AKIN分類においてstage I 以上と定義)を発症した16例(A群)と、発症しなかった262例(N群)の、術前Cre、BUN、eGFR、手術室入室からCPBまでの尿量、CPB時間、CPB中の体温、水分バランスおよび尿量、血液ガス・電解質などについて比較・検討した。結果、CPB条件では有意差は認めず、CPB開始直後BE値、HCO3値、CPB中の体重当たりの時間尿でA群が有意に低値であったことから、AKIの発症には術前からの循環不全が影響を及ぼしている可能性があり、加えて、術前からの低腎機能や腎障害が疑われる症例においては、CPBの平均的な侵襲が症状の悪化を助長する可能性も示唆された。CPB中は尿量や各種電解質をモニタリングし、至適灌流条件の検討を含めた、侵襲を軽減する取り組みが重要であると考える。

著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top