両大血管右室起始症に対する外科治療法の違いが体外循環法に及ぼす影響について考察した。当院で初回介入手術を行った両大血管右室起始と診断のついた39例を対象として、二心室修復群(n=16)と単心室修復群(n=23)を比較した。二心室修復群で体外循環時間、大動脈遮断時間、挿管時間が有意に長かった。二心室修復群は術後のヘマトクリット値、局所酸素飽和度、拡張期圧、総蛋白量、MUF中の中心静脈圧変化率が有意に高かった。単心室修復群の術前後で中心静脈圧が有意に高かった。無輸血体外循環達成率は二心室修復群44%、単心室修復群78%であった。単心室修復群は無輸血体外循環達成率が高かったが、容量負荷による血行動態の管理を必要としたためMUFの除水効率および血液濃縮効果は低く、局所酸素飽和度も低い傾向にあった。両大血管右室起始に対する単心室修復術は二心室修復術に比べて容量依存型循環エネルギーによる血行動態管理、水分バランス制御による体外循環管理を必要とした。