体外循環技術
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研究論文
陰圧補助閉鎖式体外循環システムの開発
奥村 高広佐伯 将城見目 恭一
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2012 年 39 巻 4 号 p. 432-439

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抄録

 陰圧吸引脱血を応用した閉鎖式体外循環回路の開発を目的とした水実験を行った。循環血液量制御用のハードシェルリザーバーをローラーポンプ送血による閉鎖式回路の脱血回路に、リザーバーから脱血回路を順方向としてダックビル型一方向弁を介して設置した。また、本経路に並行するバイパス回路を設けた。リザーバー内に陰圧(PR)を負荷しバイパス回路を遮断すると、PRと脱血回路内圧(PV)の圧較差により、(1)一方向弁が閉じた閉鎖回路の状態、または(2)一方向弁が開きリザーバー内から生体側へ血液が負荷される状態となる。バイパス回路を開放すると、(3)リザーバー内への陰圧吸引脱血の状態となる。リザーバーを大気開放にすると、(4)リザーバーから生体への循環血液の負荷状態となる。脱血不良によりPVが増強しリザーバー内液面が低下する場合、ポンプ回転数を下げPVを弱めるとリザーバー液面は停止する。一方向弁の開閉特性やリザーバー内圧の設定に留意が必要であるが、従来の開放式回路と同様の感覚での操作が可能であり、閉鎖式回路への移行の一助となるシステムとなると期待する。

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© 2012 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
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