体外循環技術
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原著
人工肺ガスフラッシュに関する検討
東條 圭一藤井 正実木下 春奈田村 美沙紀大島 弘之武田 章数古平 聡宮地 鑑
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2014 年 41 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

 長期間の経皮的心肺補助(percutaneous cardio pulmonary support:PCPS)では、人工肺中空糸内に貯留した水が人工肺のガス交換有効膜面積を減少させガス交換能低下を来す(ウエットラング状態)。このような場合、人工肺の吹送ガスを一時的に増加させ中空糸内の水を飛ばして(ガスフラッシュ)ガス交換能を改善させることがある。今回我々は、均質膜構造を持つ人工肺テルモ社製CAPIOX-LX、ニプロ社製BIOCUBE、多孔質膜にシリコンコーティングした泉工医科業社製EXCELUNG PRIMEについて実験用回路を作製してウエットラングを改善する方法について実験を行った。その結果、ウエットラング状態でのガス交換能の低下はBIOCUBE、エクセラン、CAPIOXの順で大きかった。ガスフラッシュによる有効膜面積は、EXCELUNG PRIME 25L/min、CAPIOX 10L/min、BIOCUBE 30L/min以上の吹送ガス流量にて改善できることが分かった。また、ガスフラッシュの時間は3種とも5秒で効果が得られた。PCPSにおいて人工肺を長時間連続して使用する場合、結露によるウエットラングを防ぐことは困難であるが、ガス交換能回復が見込めることが示唆された。

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© 2014 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
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