体外循環技術
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原著
体外循環管理時のアルカレミア環境下での「いが状赤血球」形成に関する研究
曽山 奉教吉田 秀人瀧本 順三郎高橋 幸博
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2014 年 41 巻 2 号 p. 139-143

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抄録

アルカレミア環境下で血液が過度に希釈される状況では、体外循環開始後早期およびmodified ultrafiltration(MUF)施行後の再循環回路内に血液凝集塊の形成をもたらす。我々はトリス塩酸緩衝液を用いて調整した4種類のpH条件(pH7.5、pH8.0、pH8.5、pH9.0)で、倒立型ルーチン顕微鏡を使用し赤血球形態を観察した。更に、pH7.5とpH9.0の条件でトリス塩酸緩衝液下にアルブミンとデンプンをそれぞれ0.5%と5.0%の濃度に溶解し、コロイドの赤血球形態保護作用を観察した。結果、pH9.0トリス塩酸緩衝液で13.9%あった「いが状赤血球」の出現頻度は、同緩衝液に0.5%、5.0%の割合でアルブミンを溶解することで、それぞれ3.5%(p<0.01)、1.2%(p<0.01)、同じくデンプンの溶解で7.6%(p<0.05)、2.1%(p<0.01)まで特異的に減少した。人工心肺回路充填液へのアルブミン製剤や人工膠質液の投与は「いが状赤血球」起因の血液凝集塊形成を抑制するものと考える。

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© 2014 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
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