体外循環技術
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原著
電解気泡法による人工心肺回路内における微小気泡の基本的変動
中村 淳史
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2014 年 41 巻 4 号 p. 441-450

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抄録

 人工心肺(cardiopulmonary bypass:CPB)の生体への侵襲の一つにガス状微小塞栓(gaseous microemboli:GME)があり、生体への影響はいまだ懸念事項である。CPB回路の気泡捕捉能を検討する上では、回路内における微小気泡の基本的変動を理解しておくことが重要と考え、CPB回路内における気泡の変動について検討を行った。 電気分解にて任意のサイズの気泡群を発生可能な気泡発生器を作製し、内径3/8inchの回路内に気泡群を発生させ、電気分解による気泡(electrolysis bubble:EB)と空気による気泡(air bubble:AB)の比較を行った。またEBを用いて、異なる気泡サイズ、距離、温度、回路内圧時における、微小気泡の変動を検討した。 EB、AB両者ともCPB回路内において小さく収縮していき、同様な減衰傾向が見られた。また、気泡は小さくなるほど、縮収速度が遅くなった。温度による気泡への影響は小さく、回路内圧が高いほど、気泡の収縮速度が高くなる結果となった。以上より、CPB回路の気泡捕捉能の検討は、気泡の移動距離、血液流路長、滞在時間、回路内圧による気泡径の変動を考慮した設計・評価が必要である。また、EB法は任意の大きさの気泡群の発生が可能であり、気泡捕捉能の検討への可能性が示唆された。

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© 2014 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
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