体外循環技術
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研究論文
遊離ヘモグロビン測定装置の測定精度に関するin vitroによる検討
後藤 健宏谷 誠二杉谷 侑亮佐生 喬行光 昌宏山田 昌子中山 祐樹髙尾 仁二
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2024 年 51 巻 1 号 p. 22-26

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抄録

 当院では人工心肺中に血漿遊離ヘモグロビン(plasma free-hemoglobin:PF-Hb)を測定している。PF-Hbは血中に存在するハプトグロビン(haptoglobin:Hp)と結合し、ヘモグロビン-ハプトグロビン複合体(複合体)へ変化することで減少すると考えられる。しかし、人工心肺中におけるPF-Hbの推移に着目すると測定値が低下しない症例を多数経験する。そのことから、当院で使用している測定装置が複合体も含めて測定しているのではないかと考えin vitroでの検証実験を行うこととした。

 対象機器は測定原理をアザイドメトヘモグロビン法とするHemocue® Plasma/Low Hemoglobinを用いた。PF-Hb濃度が0.10g/dLの溶血液5.0mLとHp濃度を変更したHp製剤溶液5.0mLを混和した実験溶液を作製し、各検体に対し3回ずつ対象機器でPF-Hb濃度を測定した。各検体の測定値に対する平均値と計算上表示され得る理論値を比較した。

 PF-Hbのみを測定している場合、測定結果は徐々に低下するはずだが、今回得られた測定値はすべて0.05g/dL近傍を示した。

 本装置が示すPF-Hb濃度は、複合体も含めて測定している可能性が極めて高いことが判明した。

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© 2024 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
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