体外循環技術
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PCPS施行時の大腿動脈末梢側への送血
MNMS予防と心機能モニタリングとしての有用性
八木 克史寺内 茂佐々木 嘉彦梁 勉高田 洋村山 祐一郎神吉 豊池田 識道渡部 高久
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1996 年 22 巻 1 号 p. 9-12

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抄録
経皮的心肺補助は大腿動脈からの非生理的な逆行性送血に加え,挿入カテーテルによる血管容量の物理的減少,ベンチュリー効果による陰圧発生等が,送血側下枝への虚血を引き起こすと考えられる。その結果重篤な場合には横紋筋融解症が発症し致命的となる。我々も過去に行ったPCPS18例中の2例をこれにより失った経験がある。今回,横紋筋融解症に対処した簡易方法で3例の経皮的心肺補助を経験し,横紋筋融解症を発症した2例に大腿動脈末梢送血を行い,高カリウム,水分出納バランス改善のため持続緩徐式濾過透析を併用し対処し得た。残り1例は当初より大腿動脈末梢送血を行い,血液学的検査,肉眼的所見でも認めなかった。また,末梢動脈圧測定は離脱時に通常用いるON-OFF Testに比し,循環に侵襲を与えずに心機能評価を得る上での一助となる可能性を検討した。今後,末梢側への至適灌流量および心機能モニタとしての有用性を,更に検討しなければならない。
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© 日本体外循環技術医学会
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