体外循環技術
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22 巻, 1 号
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  • 安達 秀雄
    1996 年 22 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • MNMS予防と心機能モニタリングとしての有用性
    八木 克史, 寺内 茂, 佐々木 嘉彦, 梁 勉, 高田 洋, 村山 祐一郎, 神吉 豊, 池田 識道, 渡部 高久
    1996 年 22 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    経皮的心肺補助は大腿動脈からの非生理的な逆行性送血に加え,挿入カテーテルによる血管容量の物理的減少,ベンチュリー効果による陰圧発生等が,送血側下枝への虚血を引き起こすと考えられる。その結果重篤な場合には横紋筋融解症が発症し致命的となる。我々も過去に行ったPCPS18例中の2例をこれにより失った経験がある。今回,横紋筋融解症に対処した簡易方法で3例の経皮的心肺補助を経験し,横紋筋融解症を発症した2例に大腿動脈末梢送血を行い,高カリウム,水分出納バランス改善のため持続緩徐式濾過透析を併用し対処し得た。残り1例は当初より大腿動脈末梢送血を行い,血液学的検査,肉眼的所見でも認めなかった。また,末梢動脈圧測定は離脱時に通常用いるON-OFF Testに比し,循環に侵襲を与えずに心機能評価を得る上での一助となる可能性を検討した。今後,末梢側への至適灌流量および心機能モニタとしての有用性を,更に検討しなければならない。
  • 山野 辺基, 赤松 伸朗, 稲岡 秀隆, 西沢 慶二朗, 清水 幸宏
    1996 年 22 巻 1 号 p. 13-15
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    全身ヘパリン化による体外循環を使用して,大動脈弁置換術を施行したが,人工心肺から離脱できず,左心補助人工心臓を装着した。メシル酸ナファモスタット(フサン)のみによるACTと自己心拍出量をコントロールし,約90時間後に離脱した。血栓塞栓症を疑わせる所見はなく,左心補助人工心臓内に血栓形成は認められなかった。以上より,人工弁移植後でも自己心拍出量を維持しえたならば,フサンのみの抗凝固療法でも血栓症を回避しえる可能性が示唆された。
  • 宇都宮 精治郎, 岩田 浩一, 中村 夏樹, 中尾 宏, 木村 龍範
    1996 年 22 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患にはときに脳血管障害の併発をみるが,今回我々は,急性心筋梗塞に対し,IABP・PCPSにより救命し,その経過中に脳塞栓症を併発し,高気圧酸素療法(HBO)により片麻痺の著しい改善が得られた症例を経験した。症例は54歳男性,胸部絞扼感・咽頭閉塞感のため来院。緊急CAGにて前下行枝および回旋枝の完全閉塞を認め,経皮的血栓溶解療法(PTCR)を施行し,前下行枝の再開通に成功。第2病日に左不全片麻痺を伴う脳塞栓症を発症。第3病日には心原性ショックを認めたためPCPSを開始し,前下行枝の狭窄部位に対して冠動脈内ステント留置術を施行した。心機能の回復は良好でPCPSは開始76時間後に,IABPは開始10日目に離脱した。脳塞栓症については肺炎のためHBO開始が遅れたが第30病日より8回施行し,左不全片麻痺は上肢MMTは1→3,下肢MMTは1→4,左半側空間失認消失,左足関節・膝関節拘縮消失を認めた。以後,順調に経過し,軽快退院となった。
  • 竹内 邦夫, 川上 恭司, 内田 直里
    1996 年 22 巻 1 号 p. 21-23
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    常温体外循環下に,人工肺酸素化血液+KCLを心筋保護液としたwarm群(N=20)と,軽度低体温下にSt.ThomasIIcrystalloid cardioplegiaを使用したcold群(N=20)で,それぞれ間欠的順行性に冠動脈バイパス術を施行し,その有用性について比較検討した。両群間の患者背景因子,術前心機能,大動脈遮断時間(warm群:83.6±217分,cold群:84.6±23.2分)については有意差を認めなかった。一方,体外循環時間はwarm群:103.4±22.3分が,cold群:131.4±70.9分に比べ短縮傾向を示した。大動脈遮断解除後の心機能,体外循環中のbase excessは,warm群で改善していた。また,warm群では限外濾過を必要とせず,術後,腎,脳障害の合併症もなかった。
  • 木村 整司, 小橋 和彦, 坂本 貢, 井能 克吉, 長岡 秀郎, 印南 隆一, 大貫 雅裕, 広岡 一信, 船越 尚哉, 藤原 明
    1996 年 22 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1995年5月までに行われた開心術症例中94例の, Continuous Warm Blood Cardioplegia法(CWBC)を経験した。CWBC法を用いたことにより体外循環時間の短縮,高い割合での自然心拍再開が得られた。しかし,心筋保護液の持続注入による,血液の高度希釈,血清カリウム値の上昇が見られ限外濾過(ECUM)が必要となった。
  • ― Duraflo II・UNIVOX-GOLDとUNIVOX-ICとの比較―
    吉岡 政美, 山内 良司, 笹盛 幹文, 飯塚 嗣久, 宮下 志保, 小野塚 香織, 柿崎 哲也
    1996 年 22 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    今回我々は,Bentley社製ヘパリンコーティング・Duraflo II・UNIVOX-GOLDを使用し,同社製ノンコーティング・UNIVOX-ICと比較し,血小板や,凝固系に与える影響をについて検討した。両群とも,回路はオープンとし,ポンプは遠心ポンプとした。ヘパリン投与量は,G群では2.0mg/kg,I群では3.0mg/kgとした。ACTは,G群では400秒前後,I群では450秒以上を保った。体温は両群共に,直腸温で34℃ とした。採血項目は,白血球,赤血球,Hb,Hct,血小板,T.T,P.T,APTT,FIB,FDP,血小板粘着能,血小板凝集能とした。血小板,T.T,血小板凝集能に有意差を認め,ヘパリンコーティングは,血小板の減少や凝固系の活性化を抑制したと思われた。
  • ―新しい抗血栓PCPSにより救命し得た,劇症型心筋炎の2症例―
    百瀬 直樹, 前田 孝雄, 安藤 勝信, 又吉 盛博, 北村 麻未
    1996 年 22 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    長期循環補助が可能な耐久性を有し,抗血栓性処理が施された,新しいPCPSシステムを使用する機会を得た。このPCPSシステムを,2例の長期にわたる補助循環に使用し,耐久性と抗血栓性における有用性について検討した。本システムには,テルモ社CAPIOX-SX(HP)人工肺,CAPIOX-SP(HP)遠心ポンプが用いられている。これらは高い耐久性と,ヘパリンコーティングによる抗血栓性が特徴である。症例は,2例共に劇症型心筋炎により循環不全となり,PCPSを装着した。ヘパリン投与量は,ACT150秒を目標に管理した。2症例共に,10日および8日間の長期補助循環により救命し得た。この間,人工肺のガス交換能の低下や,遠心ポンプの異常は認められず,交換を必要としなかった。出血や塞栓は認められなかった。本システムの耐久性と抗血栓性は,長期間の循環補助において有用であることが示唆された。
  • 佐々木 優二, 安田 剛, 小山 貴史, 皆川 宗輝, 山崎 隆文, 外山 雅章, 尾崎 重之, 河瀬 勇, 堀見 洋継
    1996 年 22 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    頭蓋頸動脈狭窄は,開心術後の脳神経障害を引き起こす重篤な合併症である。1983年6月から1995年4月までに開心術と頸動脈内膜剥離術(CEA)を一期的に施行した12例を対象とした。単独でCEAを先に施行したA群は,麻酔による血行動態変化に十分注意する必要がある。シャントチューブ使用率は50%であるが,頸動脈遮断時間が長くなる症例にはシャントチューブを用いた方が安全に行えた。体外循環下にて施行したE群のCEAは,体外循環による血圧低下と脳血流量不足にならないように注意するとともに,脳循環を考慮に入れ拍動流体外循環を積極的に用いた。E群は,体外循環時間が長くなる傾向にある。CEAをどの時期に行うかは,頸動脈の狭窄病変と心機能の評価が重要である。一期的にCEAと開心術を12例の患者に行い,全例で術後経過は良好であった。
  • 小野 正人, 石川 隆志, 井平 勝, 山内 章弘, 高須賀 広久, 伊藤 康宏, 日比谷 信, 服部 良信
    1996 年 22 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    肝臓と腎臓を原発とする悪性腫瘍が下大静脈から右房まで進展した2症例に対し,体外循環を補助手段として外科的切除を行った。症例1:58歳男性。平成6年11月,CT,腹部超音波検査等で,肝癌,門脈右枝腫瘍血栓,右肝静脈から右房にかけての腫瘍血栓と診断された。体外循環開始後,右房壁を切開し右房内に突出する血栓を切断摘出し,下大静脈から右肝静脈合流部を剥離後,腫瘍を下大静脈より摘出した。体外循環時間は58分であった。症例2:59歳男性。静脈造影,MRI等で,右腎腫瘍・下大静脈右房内腫瘍血栓と診断された。体外循環開始後,上大静脈と左右腎静脈の間で下大静脈を遮断し,細動器を用いて電気的心室細動とし右房を切開した。右房より下大静脈に腫瘍を押し込み,心嚢内で下大静脈を再遮断し,20Jにて除細動後,腹腔内より右腎静脈を切開し腫瘍血栓を右腎と共に一塊に摘出した。体外循環時間は55分であった。2症例とも体外循環を用いることにより,腫瘍を安全に摘出することができた。
  • 石川 隆志, 井平 勝, 山内 章弘, 高須賀 広久, 小野 正人, 日比谷 信, 伊藤 康宏, 服部 良信
    1996 年 22 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血(WFNS Grade I)症例に対し,開胸式体外循環を用い直達クリッピング術を施行した。症例は,46歳男性。軽度の頭痛により発症し,椎骨動脈造影,3D-CT(HES-CT)により,左右椎骨動脈合流部に窓を形成した巨大(15×20mm)な動脈瘤を認めた。瘤の発症部位および形状から,通常の低血圧麻酔によるクリッピング術では,瘤破裂の危険が大きく,脳幹部への影響も危惧されるため,循環遮断の可能性を考慮し,開胸式低体温体外循環を併用した。体外循環は,開心術と同様の回路を用い,右房落差1本脱血,上行大動脈定常流ローラポンプ送血を行った。低体温(26℃),心拍動下に低血圧(動脈圧40mmHg)にすることにより,瘤剥離が可能となり,3カ所のクリッピングを施行した(体外循環時間:119分)。術中,ヘパリン加による頭部術野からの出血量が問題となった。また,複科による合同手術を行う際,各科,各部署の密な連絡が重要であり,チーム医療の重要性を再認識した。
  • 久保 茂, 渡辺 正樹, 西村 和司, 赤松 俊二, 佐藤 満, 吉田 由紀, 井上 寛治, 山里 有男, 藤岡 達雄, 岩瀬 知行, 田巻 ...
    1996 年 22 巻 1 号 p. 57-59
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    動脈瘤に対する治療法は,外科的治療が主流である。しかし,最近,カテーテル法を用いた内科的治療が,開発され行われるようになってきている。当院でも,この治療法を14例に実施し,合併症もなく13例で良好な結果を得た。この治療法は,短時間の間に局所麻酔のみで実施できるカテーテル治療法であり,全身麻酔の危険性が高い症例,緊急手術が必要な場合など,外科治療に変わりうる新しい治療法と考えられた。
  • ―ブラッドアクセスによる内頸静脈穿刺逆行性脳灌流法―
    黒光 弘幸, 沢井 清司, 上田 聖, 佐藤 伸一, 小野 眞, 平井 二郎, 戸田 省吾, 北浦 一弘, 和田 行雄, 岡 隆宏
    1996 年 22 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    弓部大動脈再建手術における補助手段として,SVCに挿入された脱血管を用いた逆行性灌流法を行ってきたが,完全型内頸静脈弁を有する患者を認めたため,1993年8月より内頸静脈弁の存在を無視できる内頸静脈へ直接穿刺されたブラッドアクセスを,送血路とした逆行性脳灌流を行った。通常の人工心肺回路に単独で逆行性回路を接続し,回路内にCDI400を組み込むことにより,逆行性脳灌流中の血中炭酸ガス分圧の管理が容易になった。更に,回路が清潔野に必要とせず技士の操作のみで行えるため,術野が簡素化し術者の鉗子の掛け変えなどの繁雑な操作が不必要となり,本法の採用によって逆行性脳灌流が,容易にかつ安全に行えるようになった。
  • 二重 実, 田崎 昭夫, 吉田 秀人, 三木 成仁, 上田 裕一, 田畑 隆文, 荻野 均, 森岡 浩一, 酒井 哲郎, 松林 景二, 野本 ...
    1996 年 22 巻 1 号 p. 64-67
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    大動脈の硬化性病変に特に注意を払わなかった平成2年9月以前の冠動脈バイパス術250例において,5例(2%)の脳梗塞を認めたことから,平成2年10月以降,術中超音波による上行大動脈の壁性状評価を採用し,187例に施行した結果,18例(9%)に壁性状の異常を認めた。これらの症例に対しては大動脈遮断,および静脈グラフトの上行大動脈への吻合の可及的回避と,送血部位の変更等を行う事により,脳梗塞の発症は1例(0.5%)と減少した。成人開心術における脳塞栓の頻度を下げるためには,上行大動脈の壁性状の把握は不可欠であり,術中エコーは有用な診断法と言える。
  • ― COBE社製SAT-HCTの比較検討を含めて―
    山崎 隆文, 佐々木 優二, 安田 剛, 小山 貴史, 皆川 宗輝, 外山 雅章, 尾崎 重之, 河瀬 勇, 堀見 洋継
    1996 年 22 巻 1 号 p. 68-72
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    従来より当院において,良好な灌流と安全性の確保を行うため,体外循環中の連続血液監視モニターを用いてきた。そこで,今回新たに開発された,SARNS社製CDITH-100を臨床使用し,その器機の精度と操作性について検討した。さらに,従来より使用してきたCOBE社製SAT/HCT血液監視モニターとも比較検討した。その結果は,静脈酸素飽和度,ヘマトクリット,ヘモグロビン共にコントロール器機と高い相関を認め,従来の器機と比較しても遜色ない結果が得られた。体外循環中の連続モニターとして臨床使用には問題なく,有用な装置であることが示唆された。
  • 松井 晃, 小池 龍平, 古山 義明, 中村 譲, 山岸 正明, 野村 耕司, 山田 靖之
    1996 年 22 巻 1 号 p. 73-75
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    体外循環用ヘマトクリット/酸素飽和度モニターCDI-100に対する検討を行った。SvO2およびヘマトクリット値共,実測値との差が大きく較正が必要であった。較正後のSvO2は実測値と比較しやや高値を示す結果となったが,ヘマトクリット値は良好な結果を示し有用に活用できると考えられた
  • 古山 義明, 小池 龍平, 松井 晃, 中村 譲, 山岸 正明, 野村 耕司, 山田 靖之
    1996 年 22 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    小児体外循環において,放射線照射を行ったCPD加新鮮血を用いた人工心肺充填液に対し,血液透析を行い電解質等の補正を行った。血液透析を行うことにより血液K+値,Glucose値は有意(P<0.05)に低下し,C-値は有意(P<0.05)に上昇し正常化された。血液透析後の人工心肺充填液は,生理的状態に近づき小児体外循環に有用であると考えられた。
  • 主に血行動態維持の面から
    関口 敦, 会田 治男, 田畑 喜朗, 片倉健 二郎, 深谷 隆史, 森田 高志, 笹川 繁, 見目 恭一
    1996 年 22 巻 1 号 p. 80-83
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    下行大動脈手術時の常温部分体外循環法における血行動態維持の注意点を検討した。対象は27例で,年齢56.7±15.6歳,体重61.3±10.6kg。手術を左開胸でアプローチするため,カニュレーションはFemoralより行い必要に応じて肺動脈ベントを使用した。動脈遮断中の収縮期血圧を上半身90~130mmHg,下半身50~130mmHgを目標に全身潅流量の50~70%で操作した。その結果,下半身血圧が50mmHg以下に低下した6例(低下群)と,血行動態安定21例(安定群)を比較すると,低下群は安定群に比し潅流指数の低下と中心静脈圧の高値傾向があり脱血量不足が認められた。このため,太い脱血カニューレ挿入が必要と考えられた。肺動脈ベント使用例とベント非使用例でも潅流指数1.7l/min/m2以上では全例血圧を調節し得たことから,肺動脈ベント使用と潅流量確保が血行動態安定に有用と考えられた。本法は右心系の容量調節であるため,血圧変化と時間差があることを念頭におく必要性が認められた。
  • 主に水分出納バランス,呼吸機能,炎症に関して
    笹川 繁, 関 敦, 会田 治男, 田畑 喜朗, 片倉 健二郎, 深谷 隆史, 森田 高志, 菊池 寛二, 吉田 譲, 見目 恭一
    1996 年 22 巻 1 号 p. 84-86
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    体外循環中,Ht値が16~19%を継続した症例17例(以下,L群)と,Ht値が21%以上を維持した症例25例(以下,N群)の2群の間で,体外循環中の水分出納量,ICU入室時PO2/FiO2,抜管時間,術後ドレーン出血量,白血球数について検討した。上記の項目は両群間で統計学的に有意差はなく,両群とも大きな問題は無かったが,術後の体重が5%以上の増加を認めた症例がL群で2例あった。これらの体外循環時間は比較的長時間の症例であり,術後の呼吸機能回復に他症例より時間を要し,出血量も多い傾向にあった。長時間の体外循環症例ほど体内水分量が増加し,術後の呼吸機能などに影響を及ぼしたと考えられた。体外循環時間の長くなる様な症例では,術後の呼吸機能,出血に注意を要することが示唆された
  • 河田 修一, 窪田 將司, 鷹橋 浩, 黒田 廣, 古屋 敦宏, 上久保 康弘, 大場 淳一, 石橋 義光, 青木 秀俊, 村上 忠司
    1996 年 22 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    今回我々は,膜型人工肺(オプティマ)を使用する機会を得たので,モノリスとの比較検討を行った。また,オプティマはSat,Htモニタをリザーバ部に内蔵しており,表示値の信頼性を評価した。両群の比較は,Ht値,白血球数,血小板数,遊離Hb,血液ガス交換能について比較検討し,モニタは実測値との相関を求めて評価した。結果は両群とも十分な血液ガス交換能を有している人工肺であった。血液成分に対する影響は問題なかった。操作性はオプティマの方がプライミング時の気泡除去が容易であり,プライミングに要する時間を短縮できた。モニタと実測値とを比較するとSat,Htとも強い正の相関があり,信頼性の高いモニタであると考えられた。以上により,モノリス同様,臨床使用上有用な人工肺であると考えられた
  • 鷹橋 浩, 窪田 將司, 河田 修一, 黒田 廣, 古屋 敦宏, 上久保 康弘, 大場 淳一, 石橋 義光, 青木 秀俊, 村上 忠司
    1996 年 22 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    日機装社製遠心ポンプHPM-15(以下,HPM-15)を開心術48症例に使用し,Medtronic社製遠心ポソプBP-80(以下,BP-80)を使用した29症例とを比較検討した。各症例の身長,体重,体表面積,体外循環時間等に有意差は無かった。人工肺は全例SORIN社製MONOLYTHを使用した。体外循環初期充填量は,HPM-15:1362±34ml,BP-80:1424±28mlと,HPM-15が有意に(P<0.01)少なく,HPM-15はコーン内の充填量が25mlと少ないため,初期充填量を減らすことができた。しかし,体外循環中の血液使用量,無輸血体外循環症例数に有意差は無かった。体外循環中のヘモグロビン量,ヘマトクリット値,血小板数に有意差は無かった。また,コーン回転数は,HPM-15が300回転ほど高回転にする必要があったが,血漿遊離ヘモグロビン量に有意差は無かった。HPM-15の操作性,特に気泡除去は,BP-80より容易であり,臨床使用上有用な遠心ポンプであると考えられた。
  • 菊地 徹, 鈴木 善信, 佐々木 誠, 関野 美仁
    1996 年 22 巻 1 号 p. 97-100
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    重症心不全・心原性ショック7例に対し,遠心ポンプによる補助循環を行った。対象は,難治性不整脈および人工心肺離脱困難が5例,心原性ショック1例,緊急バイパス術後の低心拍出量症候群1例である。補助様式は,右心補助1例,左心補助2例,両心補助2例,PCPSから左心補助へ移行1例,左心補助離脱後に両心補助を再装着したのが1例である。補助循環時間は13~188時間,補助循環流量は1.0~4.6l/minであった。5例が離脱し3例が社会復帰した。補助循環を施行する際,左房内へ留置したダブルルーメンカテーテルはヘパリン持続注入による血栓形成防止,左房圧持続モニターが可能であり有用な手段であった。
  • 樋口 浩二, 橋本 良一
    1996 年 22 巻 1 号 p. 101-105
    発行日: 1996/02/26
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    体外循環の記録を可能な限り自動化するためのシステムを開発し,平成3年度から臨床に使用している。今回,システムの問題点を検討したが,過去5年間に大きな問題点は改善されている。しかし,キーボード入力に関しては改善されておらず,システムが完全自動記録化するのには,かなりの時間が必要であると思われた。また,我々の自動記録に対する認識の変化から,コンピュータに一極集中しているデータを使って,体外循環操作の支援に役立たせることが出来るのではないかと考えた。自動記録の考えを発展させることで,操作支援システムを確立することができれば,当初の開発目的である「体外循環操作の負担を軽減する」ことにも一致するため,今後出来る限り努力していきたいと考えている。
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