1996 年 23 巻 1 号 p. 45-50
近年,体外循環中の自己白血球カミ活性化し,開心術における再灌流障害の原因のひとつとして考えられている。血液心筋保護液中の微小塞栓除去フィルターに,白血球を減少させる機能を合わせ持つ,血液心筋保護液用フィルターBC1Bを成人開心術症例に使用(BC群)し,非使用例(Control群)と比較しその有効性,安全性について検討した。2群の人工心肺条件はほぼ同等であり,副作用の発現は両群とも認めなかった。白血球数は,フィルター出口にて有意に低値となり,血液2l通過時の白血球除去率は98.24%で,白血球数,血小板数,赤血球数についても有意差を認めた。圧力損失は,△4.41±2.6mmHgであった。LDH, CPK, TnT, BNPは,BC群で低値をとる傾向を示したが有意差は認めなかった。術後の心機能や合併症の発生にも両群間に差はなく,BCIBフィルターは安全に使用が可能であった。