抄録
当院では,平成7年3月より常温体外循環を導入している。今回,低体温法症例との比較検討を行った。対象は当院にてCABGを施行した症例のうち,中等度低体温+cold blood cardioplegiaをcold群28例,常温+cold blood cardioplegia+terminal warm blood cardioplegiaをwarm群29例とした。両群の年齢,体重,グラフト本数に有意差はなかった。比較を行った結果は,体外循環時間cold群140.4±45.2分,warm群121.5±42.6分,心肺離脱所用時間cold群49.6±17.6分,warm群31.0±13.9分,自然心拍再開率cold群17.9%,warm群93.1%,心肺離脱時カテコールアミン量cold群5.4±2.9μg/kg/min,warm群3.3±2.1μg/kg/min,術後1日のCKMB値cold群22.1±23IU/l, warm群10.6±13.1IU/l,術後CCU滞在日数cold群3.5±1.6日, warm群2.6±1.5日であった。常温体外循環では,大動脈遮断解除から心肺離脱までの所用時間が短縮された。カテコールアミン使用量が少ない傾向であることや術後CCU滞在日数の短縮は,常温体外循環とTWBCの効果の現れと考えられた。