体外循環技術
Online ISSN : 1884-5452
Print ISSN : 0912-2664
ISSN-L : 0912-2664
24 巻, 1 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • ―輸血によるウイルス肝炎伝播―
    野尻 徳行, 高橋 雅彦, 中島 一格, 田所 憲治, 十字 猛夫
    1997 年24 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    全国医療機関からの自発的な輸血後肝炎報告について,輸血との因果関係を検討した。また,献血・検査履歴などの献血者情報と検体保管システムからの遡及する調査(look back)により, window periodの血液の確率を推定した。1996年に医療機関から74例が報告され,輸血以外の原因が考えられた16例を除外した58例について評価した。その結果,輸血により感染したと考えられた症例は,B型肝炎1例,C肝炎1例であった。B型肝炎はHBVキャリアからの感染が強く疑われ,C型肝炎はwindow periodの血液による感染であった。一方,東京でのwindow periodの輸血確率は,HBVで38,221回に1回,HCVでは171,684回に1回と推定された。この結果を基礎に我が国におけるwindow periodの血液が献血される年間の患者数を計算すると,HBVが165人以上,HCVが37人以上となる。
  • 皆川 宗輝, 小山 貴史, 中尾 一俊, 山崎 隆文, 田渕 典之, 大橋 壮樹, 関口 茂明, 外山 雅章
    1997 年24 巻1 号 p. 9-13
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    HEMOCHONを用いて賦活凝固時間(Activated Clotting Time;ACT)400秒以上の軽度低体温体外循環(以下,CBP)を行った。肝機能障害,腎機能障害のある症例は除外し,抗凝固・抗血小板剤の服用を手術1週間前に中止した冠動脈バイパス術を対象とし,Medotronic社製HMSを用いてCPB中の全血ヘパリン濃度およびACTの測定を行った。また同時に,凝固亢進の指標としてfibrinopeptide A(FPA),prothrombin fragment1+2(F1+2),fibrlnogen(Fbg)の測定と,線溶系の指標となるD-dimer(DDも),FDPの測定を行った。その結果,HMSと特HEMOCHRONでのACTに相関関係がみられた。全血ヘパリン濃度は,CBP前は250U/kg以上であったが,CBP開始から250U/kg以下の値を示した。またHEMOCHRONを用いたACTとHMS全血ヘパリン濃度には相関関係がみられず,ACTが全血ヘパリン濃度に反映していないことが示唆された。
  • 舩木 哲也, 長沼 謙次, 稲葉 晃三, 木村 佳央, 仲野 孝, 田中 茂博
    1997 年24 巻1 号 p. 14-15
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    超音波ドップラ血流速監視装置を用いて冠血管血流速を測定することにより,冠動脈末梢の冠血管予備能を定量化し,冠血管危険因子を有さない群と,冠血管危険因子群である高血圧群,喫煙群,糖尿病群,高脂血症群の冠血管予備能を比較検討した。
  • 山本 浩幸, 藤田 俊一, 寺島 斉, 多羽田 雅樹, 尾嶋 博幸, 稲童丸 範嗣, 田口 晶, 川島 敏也, 山岸 真理, 藤原 嗣允, ...
    1997 年24 巻1 号 p. 16-19
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    当院では,平成7年3月より常温体外循環を導入している。今回,低体温法症例との比較検討を行った。対象は当院にてCABGを施行した症例のうち,中等度低体温+cold blood cardioplegiaをcold群28例,常温+cold blood cardioplegia+terminal warm blood cardioplegiaをwarm群29例とした。両群の年齢,体重,グラフト本数に有意差はなかった。比較を行った結果は,体外循環時間cold群140.4±45.2分,warm群121.5±42.6分,心肺離脱所用時間cold群49.6±17.6分,warm群31.0±13.9分,自然心拍再開率cold群17.9%,warm群93.1%,心肺離脱時カテコールアミン量cold群5.4±2.9μg/kg/min,warm群3.3±2.1μg/kg/min,術後1日のCKMB値cold群22.1±23IU/l, warm群10.6±13.1IU/l,術後CCU滞在日数cold群3.5±1.6日, warm群2.6±1.5日であった。常温体外循環では,大動脈遮断解除から心肺離脱までの所用時間が短縮された。カテコールアミン使用量が少ない傾向であることや術後CCU滞在日数の短縮は,常温体外循環とTWBCの効果の現れと考えられた。
  • 斎藤 司, 工藤 英範, 小林 剛志, 高浜 由起子, 浜口 淳, 木村 礼未, 細田 泰之
    1997 年24 巻1 号 p. 21-27
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患例で体外循環時間80分以上の症例を対象に,灌流指数2.5l/min/m2,最低直腸温33℃以上の常温体外循環(以下,常温)19例と,灌流指数2.2l/min/m2,最低直腸温26~30℃の中等度低体温体外循環(以下,低体温)23例を比較し,常温体外循環の有用性と操作性について検討した。血液ガス分析の比較では,常温にPO2がやや低く,PCO2が高い傾向が見られた。また,ヘモグロビン量,血小板数,白血球数,体外循環時間,止血時間,カテコラミン使用量,輸血量,術後ドレーン出血量,ドレーン留置日数,ICU滞在日数の比較では両群間に有意差は見られず,常温の有用性は認められなかった。操作性の比較では,常温では灌流量が多く,低体温より太い動静脈カニューレを必要とした。緊急時を想定した場合,低体温では灌流量の減少や一時的に循環停止ができる事から低体温が優位と考えられた。
  • 樋口 浩二, 佐藤 有貞, 金子 雄二, 鈴木 章司, 保坂 茂, 吉井 新平, 神谷 喜八郎, 多田 裕輔
    1997 年24 巻1 号 p. 28-32
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院では,パーソナルコンピュータを用いた記録システムを約5年間使用し,その有用性を認識することが出来た。その一方で,記録だけに重点をおいたシステムではなく,体外循環全般にわたる作業を支援できるシステムの必要性を実感した。そこで,体外循環で使用する器材や充填量などを事前に把握するための「計画書作成」,記録システムの機能を向上させた「経過表自動作成」,操作状況から今後の傾向を分析して的確に対処するための「操作支援」,施行した体外循環に関するデータを保存するための「記録書作成」などを行える,体外循環支援システム「ナビゲータ・システム1」を新たに開発した。その結果,Perfusionistの負担を充分に軽減し,体外循環操作の安全性と信頼性を更に向上させることが出来たと考えている
  • 高道 昭一, 佐藤根 敏彦, 伊藤 祐輔
    1997 年24 巻1 号 p. 33-37
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    医療の中でも特殊な分野である人工心肺について,1)情報公開,2)スタッフ相互の理解,3)学生教育を目的に,インターネット上にホームページの開設を試みた(http://www.toyama-mpu.ac.jp/public/ope/ce/cpb/cpb.html)。スタッフ相互の理解に貢献するのみならず,広く医療関係者や一般の人達と情報を共有することができた。本格的なインターネット時代を迎え,印刷物と同じく電子マニュアル等有用な情報提供手段になると思われ,今後さらに充実させることにより,一層の活用が期待される。
  • 西手 芳明, 伊藤 正憲, 米田 一貴
    1997 年24 巻1 号 p. 38-40
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    平成8年4月に心臓血管外科が開設され1年が経過した。我々は,開設前に人工心肺装置など体外循環関連機器の研修を受けるとともに,心臓血管外科医や麻酔科医と入念な事前協議を行い,機種,消耗材料を選定し開設に備えた。平成8年5月から平成9年2月までに,16例の人工心肺装置を使用した心臓手術が行われた。症例の内訳は,冠動脈バイパス術(以下,CABG)11例,心房中隔欠損閉鎖術(以下,ASDC)3例,僧帽弁交連切開術(以下,OMC),僧帽弁置換術(以下,MVR)がともに1例で,緊急手術はCAABG1例で,他はすべて待機的手術であった。この1年間は症例も少なく,待機的手術中心に行われたため,事前協議や準備に充分な時間があり,余裕をもって手術にのぞむ事ができた。今後は,緊急時や特殊体外循環にも対応できるようにすることが必要と考えられた
  • ―自己血回収装置と限外濾過―
    林 憲嗣, 渡辺 直喜, 宮崎 秀文, 一二 大心, 米永 國宏, 栗栖 和宏, 宮本 和幸, 原 正彦, 西村 紀久夫, 満瀬 哲郎, 尾 ...
    1997 年24 巻1 号 p. 41-43
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    小児無輸血体外循環において,人工心肺内残血の返血に自己血回収装置(intra operative autologus blood transfusion:以下,IAT)のみ使用した時と,限外濾過(extracorporeal ultrafiltration method:以下,ECUM)を併用した時の,1)術中蛋白製剤使用量と術翌日血漿総蛋白,2)術等の腎機能(BUN,Cr,ICU帰室後24時間の尿量),3)ICU帰室後24時間の出血量と追加プロタミン使用量を比較検討した。ECUM群において術中蛋白製剤使用量は少ないにもかかわらず,術翌日血漿総蛋白はIAT群に比し有意に高かった。術後腎機能については,両群間の術翌日のBUN,Crに差はなく,ECUM群のICU帰室後24時間の尿量はIAT群に比し有意に多かった。追加プロタミンはECUM群の方が有意に多かったが,ICU帰室後24の時間の出血量に差はなかった。
  • 洪 性秀, 尾上 雅彦, 山本 芳央, 麻柄 達夫
    1997 年24 巻1 号 p. 45-48
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Modified Ultrafiltration(以下,MUF)は,Elliottらが小児開心術において,血液濃縮,術後浮腫の軽減などを目的に開発した方法で,術後の呼吸循環動態に好影響を与える等の効果が報告されている。我々は,MUFを成人心大血管症例に応用し,その有用性を検討した。対象は1995年8月から1996年7月までに行われた,成人心大血管手術の内の30例に対してMUFを施行した。MUFは体外循環離脱直後にElliottらの方法に準じて行った。その結果,ヘマトクリット値(以下,Ht値)は平均23.9%から27.8%へ有意に上昇した。また,MUF前後でカテコラミン投与量,CVP,心拍数は変わらなかったが,収縮期血圧は平均101.5mmHgから114.0mmHgに,Cardiac Indexは平均4.15l/min/m2から4.83l/min/m2まで増加した。MUFは特別な回路を必要とせず,心肺残血を効率よく返血し,成人開心術においても短時間にHt値を上昇させた。また,術後の循環動態に好影響を与える可能性が示唆された。
  • 芦村 浩一, 山田 佳央, 牛島 一男, 平田 智美, 国友 隆二, 宇藤 純一, 北村 信夫
    1997 年24 巻1 号 p. 49-52
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    遠心力と流体の粘性によって血液を駆出する遠心ポンプは血球破壊が少なく,しかも空気栓塞を起こしにくいなどの利点もつ一方,流量は回転数が一定でも中心静脈圧・末梢血管抵抗・血液の粘性などの影響を受けやすい。そこで膜型人工肺の圧力損失の違いが遠心ポンプの駆出量にどの様な影響を与えるかを検討した。遠心ポンプを組み込んだ閉鎖回路内に8種類の人工肺をそれぞれ装着,生理食塩水を充填後,1,000rpm・2,000rpm・3,000rpm・4,000rpm時の駆出量と圧力損失測定を行った。また,同じ回路内に牛血を充填し,3,000rpmで連続6時間再循環させ,1時間毎の容血量の測定を行った。その結果,生理食塩水の実験では回転数は一定でも圧力損失の少ない人工肺で高流量が得られた。牛血を充填した実験でも,圧力損失の少ない人工肺で高流量が得られ,血液損傷も少なかった。人工肺の圧力損失特性を遠心ポンプ使用時の膜型人工肺選択基準の一つとすれば,遠心ポンプ回転数は最小限で,最大の循環効果が期待でき,しかも長期体外循環であれば遠心ポンプの寿命をも延ばすと考えられた。
  • 曽根 慎一, 石曽根 明浩, 梅園 直樹, 田辺 克也
    1997 年24 巻1 号 p. 53-55
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院では,より低体重の乳児同種血非使用開心術を目指して,人工心肺の充填量削減に努めてきた。しかし,従来の人工心肺装置での回路短縮には限界があった。今回我々は,更なる回路短縮を目的に,ポンプが患者近くに自由に配置できる,ポンプ部・コントロール部分離型の小型人工心肺装置を開発した。これにより初期最少充填量は230mlまで減少した。人工心肺装置の操作性は十分安全であり,体重4kg台でも同種血非使用開心術が可能となった。また,この人工心肺装置により血液および蛋白製剤の更なる使用削減が期待できる。
  • 林 憲嗣, 渡辺 直喜, 宮崎 秀文, 一二 大心, 米永 國宏, 栗栖 和宏, 宮本 和幸, 原 正彦, 西村 紀久夫, 満瀬 哲郎, 尾 ...
    1997 年24 巻1 号 p. 56-58
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    充填液量390ml2の小容量人工心肺回路を開発し,体重5~8kgの症例に無血充填体外循環を施行した。ヘマトクリット(以下,Hct)の推移,過剰塩基(以下,BE)の推移,体外循環中混合静脈血酸素飽和度の推移,水分バランス,血漿総蛋白の推移を検討し,また同体重(5~8kg)における充填液量550mlの従来型回路例と無輸血率を比較した。Hctの推移では体外循環中最低値は12.5±1.3%であったが,術翌日に27.4±2.3%,退院時には30.9±1.3%と回復した。BEの低下した症例はなかった。水分バランスは-12±18.5ml/kgと容量過多になった症例はなかった。術翌日の血漿総蛋白は6.7±0.5g/dlと高値に保たれた。無輸血完遂率は従来型42%に対し小容量型では75%であった。充填液量390mlの小容量回路の開発により,体重5~8kgの症例における無血充填体外循環が容易となり,無輸血率が向上した。
  • 小林 史枝, 武田 正則, 佐藤 正暢, 山下 好史, 杉山 賢司, 森田 雅教
    1997 年24 巻1 号 p. 59-63
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    近年の膜型人工肺は,ハードシェルめ静脈貯血槽との一体型が多く,簡素化されている。しかし,最低貯血量の必要性などにより,人工心肺回路の充填量軽減には限界がある。そこで我々は,低充填量を目的に,静脈血液が貯血槽を経ない遠心ポンプと落差の併用脱血方式の回路を試作し,臨床使用した。脱血回路は,貯血槽から遠心ポンプへの回路の中間へ接続し,主な静脈血は直接遠心ポンプへ流入し,灌流量以外の静脈血は貯血槽の流出口から自然落差により逆流し貯血する。灌流量が不足の場合は,貯血槽から補う方式とした。また,脱血回路にはエアーフィルタを装着し,遠心ポンプへの空気混入を回避した。エアーフィルタは100μmに織ったポリエステルのスクリリーンタイプで,充填量が40mlのものを使用した。このフィルタの性能試験を牛血(Ht=20%)で1分間5mlの空気を4回注入し,フィルタの出口で気泡を検知した結果,40μm以上の気泡は18個で,その内17個が60μm以内で,1個だけ70μmが検知された。この微小気泡は,人工肺出口でも同量が検知されたが,遠心ポンプの拍出には影響なく,最終的には動脈フィルタにおいて全て遮断された。試作回路は充填液量が1,000mlと少なく,脱血回路への空気混入は,エアーフィルタで除去され,弁疾患などの開心術症例にも支障なく使用でき,有用な人工心肺回路であった。
  • 大島 浩, 土屋 淳子, 斎藤 友信, 河村 直哉
    1997 年24 巻1 号 p. 64-66
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    近年,自己血輸血の重要性が高まって来ている。我々は,可能な限り自己血貯血を行い,心臓外科手術を行うことで,同種血輸血の弊害を回避することを試みている。今回我々は,当院における自己血輸血を行った心臓外科手術についてその有効性について報告する。自己血貯血群45例,無貯血群15例,合計60例を対象として比較検討した。貯血量は,体表面積が大きい患者ほど多く,無輸血手術が容易であると考えられた。Ht値,Hb値は,貯血群は無貯血群に比べ,手術前は有意に高値であった。また,手術後の回復も貯血群の高が良好であったが,その結果は年齢,体表面積による生理的な差と考えられた。Ht値,Hb値は貯血前と手術直前では僅かに低下傾向を示したが,有意差はなかった。このことから,エリスロポエチン,鉄剤投与の効果が認められたと考えられる。エリスロポエチンを用いた術前貯血法は,簡単で患者への負担も少なく,同種血輸血を極力回避する方法として優れていると考えられた。
  • 山崎 隆文, 小山 貴史, 中尾 一俊, 皆川 宗輝, 外山 雅章, 高橋 幸雄
    1997 年24 巻1 号 p. 67-71
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    心臓外科の分野において,自己血採取の試みは現在各施設で積極的に行われている。そこで,体外循環前に自己血の成分採血をCOBE社製自己血回収装置を使用して行った。現在,COBE社製の市販のシステムでは,血液を採血バッグに採取してから処理する間接処理法で,成分採血を行っている。そこで今回,回路を工夫し患者血液採血を直接採血処理法で行い,血小板濃厚血漿の分離採血を行うことで,処理の簡略化,操作性の向上をはかった。その結果,体外循環前の補液量の増加がみられたが,血小板濃厚血漿は平均392ml(16%),日赤血小板製剤の6単位に相当する血小板濃厚血漿が採取できた。更に,体外循環終了後,血小板濃厚血漿を返血した結果,術後の出血量・輸血量を軽減化できた。
  • 鹿野 直幸, 赤池 祝昭, 森 寛貴, 今城 郁栄, 横内 崇志, 久保田 浩光, 金子 ゆかり, 樋口 毅, 桜井 勝, 広瀬 善嗣弘, ...
    1997 年24 巻1 号 p. 72-75
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    PCPSやIABPなどの補助循環を必要とする重症心機能低下例で急性腎不全に陥った場合,無尿や高カリウム血症血行動態に影響を及ぼす血液透析(HD)の施行は非常に困難をきわめる。そこで今回,重症虚血性心疾患で搬入され緊急CABG後に多臓器不全を合併し無尿となった2例に,HDとPCPSを併用し良好な結果を得たので報告する。症例1では透析血流量(QB)100ml/minで4時間15分の安定したHDの施行可能であった。その結果,2,080mlの除水とBUN,Cr,K値が改善された。症例2でも同様の方法で5,540mlの除水とBUN,Cr,K値の改善が認められた。また,両症例でHD中の血圧と心係数(CI)を観察したところほどんど変化を示さなかった。PCPS施行中の急性腎不全に対して,PCPS回路と透析装置を並列に組み込むことにより血行動態の変化が最小限に抑えられ,良好な透析管理が可能であった。
  • 大林 輝也, 白石 裕二, 水谷 嘉男, 梶原 敬義, 今坂 堅一, 松崎 浩史, 松井 完治
    1997 年24 巻1 号 p. 76-79
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    近年,シングルパス(以下,SP)回路を用いたBlood Cardioplegiaの使用頻度が増加する傾向にあり,各種SP回路用熱交換器が開発されている。今回,6機種(BCDvanguard,HE-C,HIPEX,HE-30,CDSOO,HHE-72)の熱交換器を対象とし,冷却時0℃,加温時36℃ において熱交換率を求め,性能を評価し比較検討した。冷却時では,全機種とも流量100ml/minで熱交換率は最高値を示した。低流量時には,熱交換率が安定するまでに要する時間は80~150秒と機種間で時間差を認めたが,充填量にしめるdead spaceの割合が小さい機種ほど短時間であった。また,高流量時には,充填量の少ない機種ほど流量の影響を受けにくく,高い熱交換率を維持できた。加温時も各機種ともに流量100~150ml/minで最高熱交換率を示し冷却時とほぼ同様の結果であった。SP回路用熱交換器を選択する際,今回の検討から得られた結果および各機種個々の特徴を十分に考慮し,各施設にあった機種を選ぶことが望ましい。
feedback
Top