抄録
左頸部痛にて受診した27歳女性の血管像影で,3.5×3.5×8cmの動脈瘤,壁在血栓を認めた。左内頸動脈解離性動脈瘤破裂による仮性動脈瘤形成の診断を得たが,手術施行にあたり,破裂部位からの大出血,脳血流減少による脳障害が予想されたため,体外循環を使用し,瘤切除および総頸動脈-内頸動脈バイパス術を施行することとした。体外循環にて,超低体温下とし,循環停止可能な状態から瘤を切除するため,剥離を開始した。剥離はスムーズで,出血もなく左内頸動脈と外頸動脈にテーピングできたため,循環停止をせず復温し,補助循環下での瘤切除とバイパス術に変更した。その際,脳保護を目的に左内頸動脈に送血しながら行った(体外循環時間4時間48分)。今回,本症例に対し体外循環を施行したことにより,脳障害および出血制御困難を防止でき,安全な手術が行われた。