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―麻酔薬と麻酔の実際―
西村 欣也
1998 年24 巻2 号 p.
3-14
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
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窪田 將司, 河田 修一, 鷹橋 浩, 黒田 廣, 金岡 健, 森本 清貴, 古田 俊人, 大場 淳一, 青木 秀俊, 村上 忠司
1998 年24 巻2 号 p.
15-20
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
今回我々は,透析用に開発されたJMS社製,光学式非観血的連続的ヘマトクリットモニターCRIT-LINE(CL)を人工心肺症例に使用した。また,COBE社製SAT/HCTモニターおよび,Baxter社製OxySATモニターも同時使用し,それらの有用性について比較検討した。更に,CLは体外循環血液量の変化をグラフにてリアルタイムに表示するため,その有用性についても検討を加えた。比較は,ヘマトクリット(Hct),静脈血酸素飽和土(SvO2)について,各装置の表示値と同時に採血した実測値とを相関係数,回帰直線を求めて評価した。その結果,Hct,SvO2は,各装置とも強い正の相関を示した。CLは静脈ラインに接続することができないたあ,リザーバーを介し,ヘモコンセントレーター血液流入口に接続したが,SvO2の相関係数は0.970であり,臨床使用上有用な装置であった。また,体外循環血液量変化を表示するため,急激な血液希釈の対応応や体液バランスの把握に有用であると考えられた。
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―ヘパリン・プロタミンの抗凝固管理―
北田 博市, 松尾 光則, 飯田 弘美, 未廣 茂文, 柴田 俊彦, 佐々木 康之, 熊野 浩, 金子 和麿, 細野 光治, 藤井 弘通
1998 年24 巻2 号 p.
21-25
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
体外循環中のヘパリン・プロタミンの抗凝固管理をMedtromic社製Hepcon-HMS(HMS)を使用し,当院での従来の方法(1.5mg/kg)と比較検討した。HMS群ではヘパリン感受性(HDR)の結果1.7±1.4mg/kgとなり,ばらつきが見られた。体外循環中のヘパリン濃度は0.7mg/kg(1.0U/ml)前後を推移し,ACTとの相関関係は見られなかった。凝固・線溶系の指標は両群間に有意差は認めなかった。プロタミン量はHMS群で60.5±21.5mg,NHMS群で98.8±23.0mgと有意に低下した。止血時間はHMS群で98±13分,NHMS群で126±25分であり,術後出血量(24時間)は,HMSで353±123ml,NHMS群454±91mlで有意差を認めた。HMSの使用により,目標ACT値に必要なヘパリン量,プロタミン至適中和量が得られ,プロタミン量の減量につながり,止血時間・術後出血量とも軽減され臨床上有用であると考える。
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久保田 好光
1998 年24 巻2 号 p.
26-28
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
新たに開発されたMedtronic社製Bio Trendを臨床使用し,この機器の精度と操作性について検討した。その結果は,静脈血酸素飽和度,ヘマトクリット値,動脈血酸素飽和度は,測定機器との間に高い相関関係が見られた。また,較正しない値でも,極めて高い相関を認めた。Bio Trendは,臨床使用上問題はなく,体外循環中の連続モニターとして極めて有用であった。
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海江 田章, 石川 隆志, 山内 章弘, 高須賀 広久, 秋山 泰一, 小野 正人, 三澤 健治, 三船 博子, 服部 良信, 小林 靖典, ...
1998 年24 巻2 号 p.
30-34
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
1996年9月から1997年4月までに,中等度低体温を併用した開心術12症例を対象に,術中脳モニタリングの方法として,通常の脳波より客観性および認識性に優れている脳波マッピングについて検討を行った。脳波マッピングの変化は,麻酔開始により脳波の徐波化によるdelta,theta帯域のパワー値の増加が見られ,体外循環開始とともにパワー値が低下し,最低直腸温時に最も低くなり,体外循環終了直後でも麻酔開始時までには復帰しなかった。今回検討を行った脳波マッピングは,各周波数帯域の成分分布や左右差の有無が視覚的に容易に可能であり,臨床上客観的評価のできる方法であると考えられた。
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又吉 徹, 忍足 幸保, 乙幡 敏夫, 四津 良平, 三丸 敦洋, 井上 仁人, 長 泰則, 茂呂 勝美, 尾本 正, 中尾 桂永, 川田 ...
1998 年24 巻2 号 p.
35-38
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
当施設では,患者に優しい低侵襲の心臓手術として小切開で開心術(MICS)を行っている。MICS時の体外循環では,細いカニューレで脱血を行うため,遠心ポンプを用いた強制脱血を行っている。遠心ポンプによる強制脱血を施行した場合,気泡混入の可能性があるため,我々は遠心ポンプの手前に密閉したハードシェル貯血槽を用いた体外循環回路を考案し,良好な脱血状態を得ることができた。右心房を開ける2本脱血の場合,体外循環開始時に気泡混入の可能性はあるが,1本脱血の場合,体外循環開始時に気泡混入の可能性は少ないので,貯血槽をバイパスし体外循環を開始する。脱血方法により体外循環の開始法を変え,特に1本脱血時には貯血槽をバイパスすることにより,PCPS回路と同様に,低充填量で容易に体外循環が開始できるようになった。
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竹中 利尾, 中前 健二, 古田 邦彦, 河合 紀幸, 清水 芳行, 藤井 英樹, 木下 肇彦, 平岩 卓根, 水元 享
1998 年24 巻2 号 p.
39-41
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
低侵襲法(MICS)による弁置換術の臨床経験を得たので報告する。症例は3例で大動脈弁置換(AVR)2例,僧帽弁置換術(MVR)1例であった。MICSによる弁置換術の体外循環で重要なことは脱血量が十分得られることである。脱血は術式により1本脱血または2本脱血で行い,この時のカニューレの選択とサイズが重要であった。手術台の高さと脱血バックの落差による脱血量を,静脈ポンプを用いた回路で効率よく行うことにより安全な体外循環が施行できた。
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西田 慎一, 上屋敷 繁樹, 中嶋 康仁, 植木 弘一, 吉岡 信也, 染谷 忠男
1998 年24 巻2 号 p.
42-45
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
生体適合性を考慮したホローファイバー技術の向上により,様々な材質で作られた血液濃縮器が市販されている。今回我々は,膜材質の異なる4製品(PHC-1000,HPH-1400,LH-840P,BC-140)でアルブミン(ALB),遊離ヘモグロビン(遊離Hb),総蛋白(TP),電解質の漏出量,除水性能を比較検討した。その結果,膜のマイクロポーラス(膜の小孔)の大きさと形状が公称値と異なるものがあり,濾過液側で有用物質の漏出が見られた。また,膜にTP,遊離Hb,血小板の吸着による除水効率の低下が見られた。
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中嶋 康仁, 上屋敷 繁樹, 西田 慎一, 植木 弘一, 吉岡 信也, 染谷 忠男
1998 年24 巻2 号 p.
46-49
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
常温体外循環下で,より有効な心筋冷却を得るため,各社心筋保護用熱交換器の熱効率について比較実験を行った。対象にJMS社製HIPEX,Sarns社製Conducer,GISH社製STRAIGHT shot,AVECOR社製MYO therm,SORIN社製BCD ADVANCEDおよびBCD VANGUARDの6製品を用いた。熱交換水流量10l/minで一定とした場合と,熱交換水を冷温水槽の送水ポンプで循環させた場合の,それぞれの温度較差を測定し,熱効率を算出した。その結果,熱交換水流量が同量であれば各熱交換器間の熱効率に差はほとんど見られないが,冷温水槽の送水ポンプで循環させた場合は熱交換水流量が異なるため,各熱交換器間の熱効率に差が生じる可能性が示唆された。
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大塚 徹, 吉田 雅人, 青木 啓一, 朝倉 利久, 田所 雅克, 中川 隆司, 古田 昭一, 稲田 英一
1998 年24 巻2 号 p.
50-53
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
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症例1は,52歳,男性。Stanford A型の胸部解離性大動脈瘤。解離が両側冠動脈開口部近辺まで及んで,cardiac tamponadeを併発していたため緊急手術を行った。症例2は,58歳,男性。突然の胸部痛にて発症。胸部X線写真で左胸水貯留を認め,胸部造影CTにて遠位弓部大動脈瘤破裂が強く疑われたため,緊急手術を行った。両症例ともに,術中回収血輸血および術後回収血輸血を使用することにより,上行弓部大動脈人工血管置換術および上行弓部下行大動脈人工血管置換術を,同種血を使用することなく行えた。
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又吉 盛博, 百瀬 直樹, 北村 麻未, 安藤 勝信, 前田 孝雄
1998 年24 巻2 号 p.
54-56
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
安全な体外循環管理において,回路内圧のモニターは重要である。しかし,視覚的にしか圧力を認識できないモニターでは,常に監視していなければ突然発生する異常な内圧を察知することはできない。我々は,アラーム機能を有し,視覚的にも危険な圧力を認識できる圧力計を作製した。この圧力計の本体は,透析装置に多く用いられている岡田機器製作所製T30039Aを利用したため,安価に作製することができた。本装置を臨床使用した結果,回路内圧に起因するトラブルを防止できたほか,圧力モニターを凝視する必要がなくなり,他の安全管理により目を向けることが可能となった。
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伊勢 英史, 中村 直樹, 山村 明宏, 柳田 仁, 中村 光宏, 近藤 智昭, 草川 均, 秦 絋, 田原 大悟, 下村 旭, 中島 浩
1998 年24 巻2 号 p.
57-61
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
維持透析患者の待機的冠動脈バイパス術2症例に対し,術前に連続2目間の血液透析を行い,術中には血液透析を施行せずにECUMのみを行い,ICU帰室後より持続血液透析(CHD)を行った。BUN,Cr,K,myoglobin,遊離ヘモグロビン,ヘモグロビンおよび水分バランス,CVP等について周術期管理は容易に制御可能であった。待機的手術症例であれば,透析患者といえども術前の確実なHDと術後のCHDを施行すれば,術中はHDを施行せずECUMのみで電解質,水分バランスは十分に制御でき,通常の体外循環と特別変わらない方法で手術可能であった。
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鷹橋 浩, 黒田 廣, 窪田 將司, 河田 修一, 金岡 健, 森本 清貴, 吉田 俊人, 大場 淳一, 青木 秀俊, 村上 忠司
1998 年24 巻2 号 p.
62-66
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
維持透析患者の開心術を過去3年間に6例経験し,全例術中透析を施行した。症例は48歳から65歳の男性6例で,疾患はVHD1例,IHD3例,VHD+IHD1例,大血管疾患1例であった。体外循環時間は平均137分,大動脈遮断時間平均85分,透析時間は平均126分であった。透析施行によりBUN(mg/dl)は体外循環前37.3,終了時15.5,減少率59%,Cr(mg/dl)は体外循環前6.76,終了時2.66,減少率62%と良好な溶質除去が可能であった。術中透析は,透析装置,水配管排水が必要となるが,術中の水分バランスを一定に保つことができ,また,透析施行中はほとんど人手を必要とせず,簡便かつ有用な血液浄化法であると考えられた。術後は術当日よりCHDF,CHFを3症例に施行し,残りの3症例はCHF等は施行せず,第1から第2病日より透析を施行した。術直後の透析法としてはCHF,CHDFを施行することも一案ではあるが,術直後の血液浄化は避け,透析で対応することも可能であり,個々の症例に応じた血液浄化法が望まれる。
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古田 邦彦, 竹中 利尾, 中前 健二, 河合 紀幸, 清水 芳行, 藤井 英樹, 木下 肇彦, 平岩 卓根, 水本 享
1998 年24 巻2 号 p.
67-69
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
維持透析患者の冠状動脈バイパス術20症例に対して,術後における持続的血液濾過透析(CHDF),持続的血液濾過(CHF)を施行した。男性15名,女性5名,年齢は平均57±9歳。透析期間は平均4.6±6.1,合併症は糖尿病,高血圧,脳梗塞,閉塞性動脈硬化症であった。Hb10g/dl以下の貧血例も認めた。術前までは通常の透析(HD)を施行し,術前日にもHDを行った。術中は限外濾過(ECUM)を併用し,術後はICU帰室時よりCHDFまたはCHFを開始し,通常の透析に移行するまで継続した。ブラッドアクセスは大腿静脈にFDLカテーテルを挿入・留置した。抗凝固剤はメシル酸ナファモスタットを使用した。術直後からCHDFまたはCHFを行うことにより,高K血症・高窒素血症・水分バランスの補正に有効であり,循環動態が不安定な周術期のHDを避けることができた
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古垣 達也, 稲毛 博, 守屋 元, 飯島 光雄, 古平 聡, 東條 圭一, 伊藤 修, 新保 年弘, 藤井 正実, 西川 温, 渡辺 敏
1998 年24 巻2 号 p.
70-73
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
人工心肺装置を使用し,血管内腫瘍が右心房まで浸潤した血管内腫瘍摘出術を2例経験した。症例1は,子宮筋腫より迷入発育した静脈内子宮筋腫症と診断され,開胸開腹による一期的手術を人工心肺装置を使用し行った。腫瘍摘出のため下大静脈の遮断や切開などにより,体外循環開始時より脱血不良となり,脱血は吸引回路に依存した。症例2は,肝細胞癌が肝臓右葉から発育し,下大静脈から右心房に浸潤してきたため手術となった。症例1での経験を考慮し,体外循環回路に改良を加え対応した。また,体外循環開始直後より,酢酸リンゲル液を使用し持続的に限外濾過を行った。
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神谷 典男, 高岡 伸次, 高橋 幸志, 北本 憲永, 鈴木 克尚, 宮崎 紀男
1998 年24 巻2 号 p.
74-76
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
左頸部痛にて受診した27歳女性の血管像影で,3.5×3.5×8cmの動脈瘤,壁在血栓を認めた。左内頸動脈解離性動脈瘤破裂による仮性動脈瘤形成の診断を得たが,手術施行にあたり,破裂部位からの大出血,脳血流減少による脳障害が予想されたため,体外循環を使用し,瘤切除および総頸動脈-内頸動脈バイパス術を施行することとした。体外循環にて,超低体温下とし,循環停止可能な状態から瘤を切除するため,剥離を開始した。剥離はスムーズで,出血もなく左内頸動脈と外頸動脈にテーピングできたため,循環停止をせず復温し,補助循環下での瘤切除とバイパス術に変更した。その際,脳保護を目的に左内頸動脈に送血しながら行った(体外循環時間4時間48分)。今回,本症例に対し体外循環を施行したことにより,脳障害および出血制御困難を防止でき,安全な手術が行われた。
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安野 誠, 斉藤 知義, 中島 勉, 大林 民幸, 金子 達夫, 内藤 滋人, 野上 昭彦
1998 年24 巻2 号 p.
78-80
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
大動脈遮断下に常温冠灌流を行い,心拍動下で心内膜からの心臓電気生理検査を行った。また,この血液回路を切り替えることで,心筋保護液を灌流させ心停止後,cryoablation,endoaneurysmorrhaphy,CABGを行った症例に良好な結果を得た。
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岩田 浩一, 宇都宮 精治郎, 古賀 久士, 田中 秀憲, 中村 夏樹, 中尾 宏, 中城 正夫, 宮本 隆司, 木村 龍範
1998 年24 巻2 号 p.
81-84
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
今回我々は,blow out型の左室自由壁破裂に対し,PCPSを装着し心筋縫縮術を行った2症例を経験した。症例1は,66歳男性。前胸部痛を主訴に当院救急外来受診。PTCR後,CCU帰室途中に突然の下顎呼吸,血圧低下が出現した。心臓破裂と診断しPCPS装着後,心筋縫縮術を行った。PCPSは手術終了とともに抜去した。術後,リハビリテーションを終え軽快退院となった。症例2は,73歳女性。他院入院中,AMI疑いにて当院緊急搬入されPTCAおよびSTENT挿入術を施行した。翌日,PTCR施行後,心停止,呼吸停止を来し心臓破裂と診断。PCPS装着後,心筋縫縮術を施行した。術後も低心機能に対しPCPSを継続して使用したが,脳死状態となり循環維持困難となったためPCPSを44時間33分で終了し,その後,死亡となった。しかしながら,2例とも手術に至ったことを考えると,PCPSはblow out型心臓破裂に対し救命の可能性を生ずるために不可欠な補助循環装置であると考えられた。
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竹内 邦夫, 川上 恭司, 向井 省吾
1998 年24 巻2 号 p.
85-87
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
虚血性心疾患による心不全に,呼吸不全を合併した患者に対し,経皮的心肺補助(PCPS)を導入し,送血部位の変更により呼吸・循環管理を行った。症例は,68歳男性。巨大気腫性嚢胞,狭心症に対し,PTCA施行後,右気胸を合併した。右胸腔ドレナージ,手術(右肺縫縮術)にても呼吸不全が改善せず,肺炎を合併したため,左右分離換気を行った。術後3日目も呼吸循環動態の改善がみられず,PCPSを導入した。右房脱血,大腿動脈送血で開始したが,PCPS導入後1日目にPaO2が低下したため,人工肺,回路を交換した。数時間後PaO2低下,人工肺出口PaO2630mmHg,右橈骨動脈PaO237mmHgと差が見られたため送血部位を右大腿静脈に変更した結果,PaO2が71mmHgまで改善した。2日目より再び右上肢PaO2が低下,腹部膨満が増強し,右大腿静脈送血による腹腔内静脈圧の上昇が疑われたため,送血部位を右内頸静脈に変更したところ,PaO2が97mmHgと改善をみた。4,8,14日目に,人工肺,回路を交換しPaO260~100mmHgにコントロ―ルした。しかし,12日目より敗血症を合併し,15日目にMOFのため死亡した。
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山崎 章生, 盛 勇造, 三上 雅人, 今田 篤, 猪久保 洋一, 百川 健, 小田 桐聡, 和田 豊人
1998 年24 巻2 号 p.
88-92
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
下行大動脈閉塞症例にextracorporeal lung and heart asisst(ECLHA),V-Aバイパスを,薬剤性toxic epidermal necrosis(TEN)にて入院加療中高度の肺機能不全症例にextracorporeal lung assist(ECLA),V-Vバイパスと病態に応じてカニュレーション法を変更した。症例1は後負荷による静脈圧の上昇と心不全の状態であり,更に,腹部臓器への血流が遮断されていたため,右房脱血,大腿動脈送血バイパスが有効であった。また,症例2は,下大静脈脱血,右房送血バイパスにすることで,直接酸素化血が左心系に流れ込むため,動脈血ガス分圧を良好にコントロールでき離脱した。また,長期に及ぶ補助循環時の更なる生体適合が今後の課題と考えられた
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深谷 隆史, 目黒 勉, 木村 壮介
1998 年24 巻2 号 p.
93-96
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
心筋保護用熱交換器と,上限および下限の圧力制御を有する心筋保護システムKIC-01を利用した,脳分離体外循環回路を試作し臨床使用した。予備実験において,SORIN社製VANGUARD,JM S社製HIPEX,GISH社製STRAIGHT SHOTの3種類の心筋保護用熱交換器を用いて流量600ml/minにおける熱交換率を算出,それぞれ0.67・0.56・0.52であり十分な熱交換能を有していた。VANGUARDを用いた脳分離体外循環回路を作成し,臨床3例に使用したが,ポンプ送血でも危険な圧になることなく無事終了した。KIC-01は上下限の圧力制御の設定ができ,監視が容易となり有用であった。また,作製した回路は従来の方法に比べ,回路が簡素化し組立が容易になり,充填量の削減にもつながり有用であった。
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―INVOS3100Aを使用して―
吉岡 政美, 笹盛 幹文, 飯塚 嗣久, 山内 良司
1998 年24 巻2 号 p.
97-100
発行日: 1998/02/25
公開日: 2010/06/28
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フリー
非侵襲脳内酸素飽和度監視装置を用いて,脳内酸素飽和度(rSO2)と体外循環中の各因子との相関関係と,安全域について検討した。症例は術前に脳梗塞,脳塞栓などの中枢神経障害の既往がない50例とし,測定項目はBS,Hb,PaO2,PaCO2,灌流圧,灌流量,食道温,送血温とした。その結果,体外循環の前中後で経時的なrSO2の変化はなく,各因子との間に有意な相関はみられなかった。また術後,中枢神経障害を起こした症例はなかった。体外循環中のrSO2の平均値は64.9±7.4%であったが,最低値は51%,最高値は82%であり,ともに術後中枢神経障害は起こしていないため,安全域が何%であるかは明言できない。しかし,当施設では51%を最低点としてとらえ60%を目安としたい。また,体外循環中にrSO2を低下させないことが重要であると考えられ,低下率7%を目安としたい。更に,当施設での体外循環指標はrSO2を低下させない安全なものであると考えられる。
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