体外循環技術
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ローラーポンプを用いたMICS時の体外循環システム
会田 治男関口 敦森田 高志樺澤 寛二笹川 繁吉田 譲大木 康則佐藤 智明見目 恭一片倉 健二郎朝野 晴彦大内 浩許 俊鋭
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1999 年 26 巻 3 号 p. 93-98

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抄録
【要旨】MICS手術の体外循環には,小口径のカニューレや経皮的なカニューレが用いられるため,強制脱血法の導入など若干のシステム変更が必要となる。今回当院でのシステムの特徴,操作法,コストなどを中心にMICS手術19例と通常の手術との比較検討を行った。当院のMICS手術システムの特徴は,遠心ポンプは使用せず,経皮的カニューレ法にて右頸静脈と大腿静脈から落差と壁吸引により,最低-50mmHgの陰圧で脱血し,酸素加血を大腿動脈にローラーポンプにて送血する方法である。操作法は通常の開心術時のポンプ操作とほぼ同様であるが,陰圧の程度をベント・吸引量に合わせ調整している。コスト面では経皮的カニューレ,心内貯血槽が通常の手術と比して増加となるが,遠心ポンプは不要となる。手術時間は216.4±31.3分,体外循環時間は105.8±23.3分で,通常の手術と比較し有意差はなかった。更に,特別なリスクもなく,患者には低侵襲かつ美容上効果が得られるうえ,早期回復の傾向も見られた。また遠心ポンプ使用時のMICS手術との有意差もなかった。本システムはコストの軽減ができ,また簡便かつ容易な操作はMICS手術を施行するうえで有用と考えられる。
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© 日本体外循環技術医学会
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