【要旨】脳分離体外循環に静脈血用リザーバー付多孔質膜型人工肺を用いて,操作性と安全性の優れた回路構成にすることを目的に,遠心ポンプ(Bio-pump)で人工肺へ圧設定をし,ローラーポンプで流量設定を行う方法について検討した。始めに人工肺(MAXIMA)に過度の陰圧および陽圧が生じないためのBio-pumpの回転数を求め,次に遠心ポンプの回転数1,500rpmと2,500rpmにおいて,ローラーポンプ0.5l/minおよび4.0l/minで溶血試験を行った。その結果1,500rpmの低回転では,ローラーポンプ0l/minの閉鎖時から4.0l/minで147mmHgから100mmHgと,過度な陽圧および陰圧を生じなかった。溶血量は,1,500rpm低回転群のローラーポンプ0.5l/minで0.24g/100l,4.0l/minで0.14g/100l,2,500rpm高回転群のローラーポンプ0.5l/minで0.42g/100l,4.0l/minで0.22g/100lで,Bio-pump 1,500rpm低回転群が溶血は軽度であった。本回路は,簡便で安全な脳分離体外循環として有用であると考られた。
抄録全体を表示