抄録
【要旨】心臓手術の術式変更,緊急手術を行う場合,技士が短時間で人工心肺回路を組み立て灌流補助することは,患者の生命を左右する重要なことである。しかし,従来の回路は,準備を行い灌流開始するまで時間を要してしまい,回路組み立て時間の短縮化が望まれていた。そこで今回,回路の機能的な部分は変更せずに,メーカー側で事前に接続されたPre connect回路と,心筋保護液回路を含めた回路セットを1個のトレイの中に組み込んだAll in One System回路を新たに製作した。その結果,回路の準備から充填までの時間短縮が可能となり,仕事の効率化・合理化が行われ緊急手術などに活用できる回路が完成した。このことが実現となった背景として,メーカーの人工心肺関連商品の充実化とリザーバー付き人工肺の国内滅菌が可能となったことがあげられる。