体外循環技術
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小児補助循環9例の経験
吉田 譲樺澤 寛二笹川 繁会田 治男関口 敦森田 高志大木 康則佐藤 智明奥村 高広小塚 アユ子見目 恭一
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2001 年 28 巻 2 号 p. 38-43

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抄録

【要旨】小児補助循環9例に対し,専用システムを用いた。(1) 回路全体の生体適合性の向上と,ACT値を短縮させ出血のコントロールができるよう,システム全体のヘパリンコート化を図るため,術中使用のノンコートカニューレを補助循環移行時にヘパリンコートカニューレに入れ替えた。ACT値は150秒前後を基本に,出血が問題となる症例では130秒前後にコントロールした。移行に平均2.4分かかり,長時間の人工心肺が予想される場合やハイリスク症例には,あらかじめヘパリンコーティングカニューレを使用するなどの対策が必要である。(2) 補助循環への移行時のinitial drop軽減とヘマトクリット値維持を目的に,充填血液を人工心肺循環血液に置換した。効果的ではあるが,充填置換操作に時間を要し慣れが必要である。(3) 流量500ml/min以下の低流量症例に対し,血流量の安定と血栓発生の予防のため,回路内動静脈を短絡し血液を再循環させた。患者への送血流量に対し,約2倍の再循環血流量を維持し,安定した流量が得られた。血液の人工肺内への再循環のため,PCO2値が低くなる傾向にあったが,正常値を維持できた。ガス流量の注意深いコントロールが必要で,炭酸ガスの付加も検討すべきである。

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© 日本体外循環技術医学会
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