抄録
【要旨】症例は,76歳,女性,維持透析患者であった。胸痛を主訴に当院に搬送され,胸部CTにて,StanfordA型急性解離が認められ,緊急大動脈上行グラフト置換術となった。術後,血行動態が不安定な時期の血液浄化回避を目的に,術中,人工心肺回路内の限外濾過と人工心肺復温中,人工透析を併用した。術後,血液浄化を24時間後に開始でき,第4病日には,通常の人工透析へ移行できた。維持透析患者の心,血管手術は,術前,術中,術後の血液浄化による管理により,尿毒素の除去,水分バランス,電解質の補正が必要であり,術後,血行動態の不安定な時期の血液浄化回避が重要であると考えられる。本症例では,人工心肺中,限外濾過と人工透析を併用することは有効であり,今後,心大血管緊急手術が必要とされる,維持透析患者の救命率向上を目標とするためには,最も適切な血液浄化法を検討し,選択する必要性があると考えられた。