抄録
【要旨】症例は52歳,男性,心窩部痛を主訴に他院にて救急入院となったが,ショック状態となったため,急性心筋梗塞疑いにて当院に救急転送。IABP補助下にて冠動脈造影を施行したが,有意狭窄は認められなかった。その後,腹部超音波,腹部CT検査にて褐色細胞腫が疑われ,これに伴うカテコラミン心筋症が考えられた。経皮的心肺補助システム(PCPS) ,IABP補助下にて比較的安定した血行動態を維持し腫瘍摘出術に成功した。術後,術前より認めていたDIC傾向による出血が持続したため,心機能の回復とともにPCPSから離脱した。その後,カニューレ挿入部下肢の感覚障害が残るものの自力歩行が可能となり,62日後軽快退院した。カテコラミン心筋症による心原性ショック症例に対し,PCPSが有用であった1例と考えられた。