体外循環技術
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脳炎に心・肺不全を併発し機械的補助を行った経験
― PCPSからV-V ECLAへ―
木村 啓志八木 克史寺内 茂寺内 規子福山 佐弥香上田 紘平神吉 豊伊東 正文川田 雅俊福井 道彦天谷 文昌小尾口 邦彦下里 豪俊鶴田 宏史
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キーワード: 補助循環, 脳炎
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2002 年 29 巻 2 号 p. 171-174

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抄録
【要旨】突然の意識障害と痙攣重積状態でICU入院になった患者に対し,通常の抗痙攣薬投与では重積状態を抑制できず,バルビツレートの大量投与を余儀なくされた。その副作用か,突然の徐脈を来し,ペーシングにカテコラミン大量投与を併用したが血行動態は改善せず,IABPによる補助を行ったがこれにも反応せずPCPSに踏み切った。開始27時間後酸素加能低下により回路交換を行ったが,その後劇的に心機能が改善し72時間後離脱し得た。しかし,心機能改善とともに肺機能低下が顕著化,PCPS離脱と同時に静脈内体外循環肺補助法(Vero Venous Extra Corporeal Lung Assist:V-V ECLA)に移行した。人工呼吸器の設定はrest settingとし,Ht≧40%,SvO2≧80%,SaO2≧90%に維持すべく送血流量を調節し,72時間後離脱可能となった。現在,救急集中治療領域では,多くの機械的補助・治療法が登場してきている。病態に応じた方法を的確に判断し施行しなければ,より病態が悪化してしまう可能性が充分に考えられる。今回,PCPSのみでの肺補助も考慮したが,PCPSの副作用を考えV-V ECLAへの移行を決断し良好な結果を得た。今後,より安全・迅速・簡便な方法,器材を検討していかなければならないと考えられた。
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© 日本体外循環技術医学会
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