体外循環技術
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報告肺塞栓除去術において気道内大量出血により循環維持が困難となった症例
高橋 克弘見目 恭一吉田 譲関口 敦會田 治男樺澤 寛二大木 康則佐藤 智明奥村 高広小塚 アユ子斉藤 亮輔矢島 真知子荻原 正規
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2003 年 30 巻 1 号 p. 43-46

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抄録

【要旨】患者は67歳男性。経食道エコーにて肺動脈・右房内に動きがある大量の棍棒状の血栓を確認,急性肺梗塞にて体外循環下(血液温30℃,vf)で右房と肺動脈を切開し血栓を除去した。その後,換気再開時点より気道内から大量の出血が認められ,外科的止血に難渋し,出血に対し次第に輸液・輸血による容量補充が追いつかなくなり,灌流量低下状態(灌流指数1.1~1.9L/min/m2)が88分間続いた。その際,低体温にした代謝抑制効果よりも,常温による出血阻止効果に期待し温度管理を行った。出血による自己肺ガス交換能低下に対して,出血の軽減や全身への酸素供給を維持するために閉鎖回路のECMOに移行し,止血促進のために最小限の抗凝固(ACT150~200秒)で管理した。その結果,出血およびガス交換能が改善し,ECMOは45時間40分で離脱できた。

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© 日本体外循環技術医学会
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