体外循環技術
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静脈貯血槽の気泡捕捉性能の検討
―経頭蓋超音波装置を使用しての検討―
田高 朋宏稲葉 敦彦三浦 吉晴榛沢 和彦森下 篤北村 昌也小柳 仁
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2004 年 31 巻 1 号 p. 71-73

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抄録
経頭蓋超音波検査(TCD)では脳動脈内の気泡,血栓などの微小栓子がHigh Intensity Transient Signals(HITS)として検出することが可能である。CPB中に脱血回路から空気が混入した症例で,脳動脈内でHITSが多数検出され,術後の覚醒遅延や痙攣などの合併症を経験した。今回,TCDを用いて3種類の静脈貯血槽(VR)の気泡捕捉能力を検討したので報告する。3種類のVRを用いて模擬回路を作製し,静脈回路に設けた空気の注入口から1mLの空気を注入し,VR出口,人工肺出口,動脈Filter出口にてHITSの検出を行った。灌流液には豚血を用い,灌流温36℃,灌流量は4L/minとした。3種類のVRから出る気泡数に有意差は認められなかったが,気泡径はVRのFilterサイズが150μmのA-VRから流出する気泡径が大きい傾向にあった。人工肺前後では気泡数に有意差が認められたが,動脈Filter前後では有意差が認められず,10μm以下のマイクロバブルみら捕捉はできないことが示唆された。マイクロバブルの捕捉には人工肺のほかにVRの除泡能が大きく関与することが示唆された。
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© 日本体外循環技術医学会
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